半年ほど前から、Windows10版のiTunesが、Microsoftストアから提供されるようになりました。
Apple公式でも、ダウンロード→Windowsと選択すると、ほぼ強制的にWindows Storeに案内されます。(いろいろやると、まだインストーラー版も出てきます)
遅まきながら教室のiTunesをストア版に切り替えてみたので、その流れを書いてみます。
ストアアプリと従来版アプリ。何が違う?
同じパソコンで同じように動くのに、「ストアアプリ版」と「従来版」があるのは、奇妙に思われますね。
そもそもストアアプリ版って、いったい何なのでしょう?
新しい時代のパソコンソフトの形、ストアアプリ
Windowsで動作するソフトは、Windows7までは「ストアアプリ」という概念じたいがありませんでした。
Windows8が発売された時に、簡単に言えば「パソコンでもスマホと同じようなソフトの管理方法を導入しよう」ということで、導入されたのが「ストアアプリ」です。
ストアアプリは「Microsoftストアからしかインストールできない」という特性があります。iPhoneのAppStoreと同じです。
ですので、よくわからない提供元から偽のアプリが提供されてウイルスに感染する、といったリスクをなくすことができ、より安全にパソコンが利用できるようになります。
またストアアプリは、出てきた当時は「UWPアプリ」と呼ばれていました。UWPとは「Universal Windows Platform」の略で「ウィンドウズでありさえすれば、どんなマシンでも動く」という意味が込められています。
ウィンドウズといえばパソコンというイメージですが、実はWindowsスマホというものも存在します。また、Windows RT、Windows 10「S」といった、「簡易版のWindows」も存在します。ストアアプリは、そんなさまざまなWindowsで共通に使えるアプリとして登場したものです。
このように、ストアアプリとは、
「新しい世代のパソコンソフトの形」であり、
「パソコンとスマホの区別がなくなっていく」時代を表す提供形態だと言えると思います。
ストアアプリ版のiTunesに切り替えてみよう
Apple公式からのダウンロードも、通常はストア版で案内
Apple公式のiTunesダウンロードページも、通常はストア版でダウンロードするようになっていますね。
(インストーラー版も入手できます。方法はこの記事の最後に書いておきます。)
ストア版アプリにするメリットとしては、次のような点があげられます。
- なにかとメンテナンスが楽。 インストールもアップデートも、Windowsストアから自動で行われる。
- コンピュータウイルスなどの影響を受けにくい。ストアアプリはサンドボックスという閉鎖空間内で実行されるためです。
これからiTunesを使う方は、まずストアアプリ版にするべきだと思います。
従来版から自動ではアップデートされない
従来版のiTunesのアップデートの延長で勝手にストアアプリ版に変わるわけではありません。一度自分の手でWindowsストアにアクセスし、インストールする必要があります。
Appleのページにあるリンクから移動してもいいのですが、ブラウザで開くためログインを求められたりします。タスクバーにあるストアアイコンから直接Microsoftストアに行く方が楽かもしれません。
WindowsストアからiTunesをインストール
Microsoftストアについては、そろそろご説明も不要かもしれませんが、要するにiPhoneのAppStore、AndroidスマホのPlayストアのようなものです。スマホアプリをインストールする感覚ですね。
右上の「検索」に「itunes」と入力すると、iTunesが簡単にみつかります。
起動前に旧バージョンのiTunesが自動的に削除される
インストールが完了して、いよいよiTunesを起動しようとすると、次のような画面が出ます。
従来版とストアアプリ版を共存させない、という仕様ですので、ここは「はい」を押します。
従来のiTunesからデータは自動的に引き継がれる
「iTunesライブラリと設定は削除されません」ということなので、きっと自動的に設定やiPhoneバックアップ、曲なども移行されるのでしょう!
iTunesユーザーにとってこのへんが一番の心配事なのですが、Appleを信用して、ちょっとドキドキしながら「はい」を押してみます。
Apple Mobile Device Supportを設定しています、とのことなので、このあたりでデータの移行が行われているようです。
完了して、iTunesが起動しました。見た目は以前とまったく変わりません。ストアアプリであることを忘れるくらい、同じです。
教室のパソコンなので大したデータは入っていませんが、正しくライブラリが移行されているのが確認できました。
iPhoneのバックアップデータも正しく移行されています。また「自動的に同期しない」のチェックも入っていますので、設定も移行されています。
Windowsアカウントごとにインストールが必要。そのとき別アカウントのデータは?
ちょっとした注意点なのですが、
複数のアカウントを設定したWindows 10では、ひとつのアカウントでストアアプリ版をインストールしても、別のアカウントには入りません。アカウントごとにひとつひとつストアアプリ版をインストールする必要があります。
すると、次のような問題が予想されます。
「ひとつめのWindowsアカウントでストア版iTunesをインストールしたら、従来版のiTunesは全員からアンインストールされてしまう。では、最初にインストールしたWindowsアカウント以外のアカウントでは、iTunesのデータはストア版に移行する前に消されてしまうのか?」
この点、実際に教室で試したところ、
「ふたつめ以降のWindowsアカウントでは、従来版iTunesはたしかにアンインストールされているが、
データは消えておらず、
ストアアプリ版のiTunesをインストールして初回起動した時点で、従来版iTunesのデータの有無が検索され、
発見された場合は自動的にストアアプリ版のデータに移行される」
という動作をしていました。マルチユーザーで切り替えて使っている方も安心して(ちょっとドキドキはしますけど(^-^; 移行できます。
また、iTunesインストール時に、WindowsストアではMicrosoftアカウントでのログインをうながす画面が出ますが、ログインしなくてもiTunesはインストールできました。
Microsoftアカウントに紐づいているアカウントでは、ちゃんとログインしてインストールした方が無難ですが、ローカルアカウントでもログイン無しで問題なくインストールできます。
Shiftキーで起動してライブラリ切り替えも大丈夫
従来版iTunesで、Shiftキーを押しながら起動してライブラリを切り替えて使っていた方もいらっしゃると思います。
この点も動作検証したところ、ストアアプリ版もShiftキーを押しながら起動するとライブラリの切り替え画面が開き、正しく切り替えることができました。ご安心ください。
※Shiftキーは、iTunesのアイコンをクリックする時に押しているだけではだめで、ライブラリ切り替えの画面が出るまで押しっぱなしにしてください。
実際のデータ保存場所は、バックアップのみ移動している模様
実際にパソコンに保存されているデータの行方ですが、iPhoneのバックアップデータは実際に物理的に移動していました。
保存フォルダの変更はこのバックアップデータの部分のみのようです。
「ミュージック」以下のフォルダはそのままです。
user\AppData\Roaming以下の、従来使用されているデータフォルダは、削除しようとすると「使用されています」と出ますので、ほとんどのデータをそのままストアアプリ版も利用しているようです。
ストアアプリ版iTunes、余裕のあるときインストールしておくと良いかも
初期にストアアプリ版iTunesに移行した記事の中に、不具合の報告があったりして心配しましたが、問題なくスムーズに移行できました。
従来版からストア版への切り替えだけは自動ではないため、一度、余裕のあるときにストア版に切り替えだけしてみてはいかがでしょうか?
どうしても従来版iTuneを入れたいときのダウンロード方法
ストアアプリが正しく起動しない、Windows 10ではない、などの理由で、従来版をインストールするときは、iTunes公式サイトに用意されています。
ストアアプリ版から通常版に戻すとiPhoneバックアップは手動で移動が必要
何らかの事情で、いったんストアアプリ版にしたのちに、再度従来版に戻すときは注意が必要です。
当教室で実験したところ、
- iTunesライブラリは正常に引き継がれました。
- iPhoneバックアップは引き継がれませんでしたが、データは残っていたので手動で移動したら認識されました。
実際に、ストアアプリ版をインストールした環境で従来版をインストールしようとすると、まず次のような警告が出てインストールが止まります。
そこで、全ユーザーからストアアプリ版のiTunesをアンインストールして、再び試すと、こんどは正しくインストールされます。
結果を見ますと、音楽などライブラリはまったくファイル自体移動していませんので、大丈夫でした。iTunesの設定(「自動的に同期しない」など)も引き継がれていました。
しかし、iPhoneのバックアップは見えなくなっていましたので、
\user\Apple\Mobilesync\Backup フォルダを、 \user\AppData\Roaming\Apple Computer\Mobilesync\Backup
にコピーしたところ、正しくiPhoneバックアップも表示されるようになりました。
データ形式自体が違うわけではないようですので、この程度で対応できますし、いずれアップデートで自動的に移行するようになるかもしれませんが、ご注意ください。
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