「Googleレンズ」は、写真・画像から、関連するさまざまな情報を得られるツールです。
例えば
- 写真に写っている花の名前を調べる
- 商品の写真から、商品名や価格、販売しているサイトを調べる
- 写真に写っている文字をコピーする、自動翻訳する
といったことができます。
便利なGoogleレンズですが、ひとつ注意すべきことは、Googleレンズにかけた画像は、インターネットを経由してGoogleのサーバに送信されている、ということです。
もし、Googleがその画像を不適切に扱えば、情報漏洩のリスクがあることになります。
「Googleレンズは一切画像を保存しない」と書かれた記事、本当なのか!?
この点について、いくつかのWeb記事が、「検索に利用した画像は一切保存されない」と断言しているようなのですが、残念ながら、「Googleレンズとは」など、Googleが出しているヘルプページには、「保存しない」という明確な言葉はありません。
また、「Googleレンズの危険性」「Googleレンズは怖い」といったタイトルのWeb記事もいくつかあります。こうした記事は、内容が間違っていたり、同じネタからのコピペであったりすることが多いようです。信頼できる情報といえるものは、見つけることができませんでした。
実際のところ、Googleレンズは、画像を保存しているのでしょうか? 万一の流出リスクはないのでしょうか?
Googleレンズで使った画像は、どのように扱われるのか
スマホやパソコンの写真を、Googleに送信して分析している
Googleレンズは、「Google画像検索」から発展したツールです。画像を端末の内部で処理しているのではなく、Google検索の検索語と同じように、画像をGoogleに送って分析しています。
試しに、「機内モード」に設定して、電波を切った状態でGoogleレンズを実行すると、エラーになります。
つまり、画像は、スマホやパソコンの中から、外に出て、Googleの手に渡るわけです。
この点について、一部のWeb記事が「画像は必ずアップロードされるわけではない」と書いているようですが、誤りです。Googleレンズの画像解析は、Googleのクラウド上で行われており、かならず送信されています。
送信経路は、暗号化によって安全に保護されている
Googleレンズで検索画像をアップロードする送信経路は、インターネットです。
インターネットは、全世界に開かれた空間ですから、適切なセキュリティ対策をしなければ、情報は筒抜けになります。
しかしこの点については、Googleは、ユーザーがGoogleに送信するデータについて高度な暗号化を行っている、と明言しています。
送信経路で横から「盗聴」される危険は、考えなくて良いと思われます。
Googleレンズによって送信された画像を、Googleは保存しているのか
次に、アップロードした画像を、Googleがどのように扱っているかです。
複数の記事に「Googleレンズで検索に使われた画像を、Googleは一切保存しない」と書かれています。
どうも、Googleレンズのサービス開始時に行われた説明会で、Googleが「一切保存しない」と言ったみたいですね。
Googleの「プライバシーポリシー」を確認してみる
アップロードした画像がどのように使われるのか、残念ながら「Googleレンズ」のページには、何も書かれていません。
そこで、個人情報の取扱いに関わる「プライバシーポリシー」を見てみると、要するに、「収集します」としか書いてないわけです。どこにも「Googleレンズで使用した画像はいっさい保存しません」にあたる内容は、書いてありませんでした。
「Googleレンズ」アプリの「データセーフティ」の内容を見てみる
Googleレンズは、普通はGoogle検索の横のボタンから起動するのですが、独立したアプリとしても配信されています。
このアプリの説明の中に、「データセーフティ」という項目がありますので、見てみます。
写真と動画を「収集することがあります」と書かれています。
そして同時に、「第三者と共有されるデータはありません」とも書かれています。
どうも、ここの記述が、「Googleレンズが画像をどう取り扱うか」について、いちばんはっきり書かれているように思います。
結論:Googleレンズは、画像を「保存するが第三者には共有しない」
結論としては、Googleレンズは、ユーザーが送信した画像を「保存するが、第三者には共有しない」と考えられます。
いくつかの記事にあるように、「一切保存しない」というのは、事実ではないようです。
Googleレンズで使った画像を、Googleはサービスの向上など、何らかの目的で収集し、使用するかもしれません。
しかし、自分とGoogle以外の第三者に対して、その画像が公開されることはありませんよ、と書いてありますので、いわゆる「個人情報ダダ漏れ」のような状態では決してない、ということです。
そういうことを理解したうえで、Googleレンズは、使っていけばよいと思います。
そのうえでなんですが、一点どうしても、気を付けていただきたい点がありますので、そのことについて最後に書いていきます。
【注意】ブラウザでGoogleレンズ→閲覧履歴から画像流出のリスク
一点ご注意いただきたいのは、アプリではなくブラウザからGoogleレンズを使った場合です。
スマホの場合は、自動的にGoogleアプリに転送されるようなので、主にパソコンのブラウザから使った場合が問題になります。
結論からいいますと、第三者がパソコンに触れられるような環境では、ブラウザの閲覧履歴から、Googleレンズで使用した画像が容易に窃取され、流出しうる、ということです。
あるいは、Googleアカウントでログインしたままのパソコンを、第三者に使わせている場合、デバイス間で同期された検索履歴から、画像が窃取されうる、ということです。
検索結果のURLから、一週間ほどの期間は、画像を読み込めてしまう
ブラウザでGoogleレンズを使うと、アドレスバーに表示されるURLから、一定期間、その画像をふたたび見ることができます。ログインしていなくても、シークレットウィンドウでも、関係なく、URLだけで見ることができます。
このことから、Googleは、画像を検索結果表示のため一定期間保持していることが分かります。
「一定期間」とはどのくらいか。手元のブラウザの「閲覧履歴」(chrome://history/)からたどってみると、最大で6日前のURLから、画像を再び見ることができ、ダウンロードも可能でした。また、20日前のURLからは、エラーとなり、画像を再び見ることはできませんでした。
おそらく、一週間程度はGoogleのサーバに保持されているものでしょう。
ブラウザの閲覧履歴に、URLはバッチリ残っている
このGoogleレンズの結果URLは、ブラウザの閲覧履歴にもバッチリ残っています。
結果URLに共通するフレーズで、閲覧履歴を検索してみると、このようになります。
この「Google Lens」と書かれた履歴のひとつひとつに、正確なURLが記録されていますので、悪意のある第三者がこの履歴を見られる状況の場合は、簡単に盗み取られてしまいます。
画像だけを右クリックで簡単にコピーでき、保存もできてしまう
さらに、この検索画面の画像がどのように読み込まれているかを調べます。
画像を右クリック→「画像アドレスをコピー」としてみます。
すると、次のような長大な文字データが、「画像アドレス」としてコピーされました。
これは、「base64エンコード」といって、文字列で画像そのものを現したデータです。この文字列を、ブラウザのアドレスバーに貼り付けると、たしかに、Googleレンズで送信した画像がそのまま表示されます。
つまり、ひとたびGoogleレンズの検索結果画面のURLにアクセスされた場合は、そこにある画像は簡単にコピーでき、画像またはテキスト文字列の形で簡単に保存できる、ということが分かりました。
ただし、一度base64エンコードされていますので、撮影日時などの情報は読み込めません。
URLを直接コピーされない限りは、流出する可能性はほぼない
アプリからGoogleレンズを使用した場合には、URLは取得不能であるため、この方法での流出は心配しなくて良いと考えられます。
また、URLは非常に複雑なもので、悪意のある第三者が簡単に再現できるものではないと考えられます。
ですので、このURLを流出させないことで、Googleレンズを安全に使用することができると考えられます。
法律や社内規定で保護されている画像は要注意
しかし、そうはいっても、ログインしていなくてもURLから画像が見られる、という点は注意が必要だと考えます。
また、Web版でこのように、一時的とはいえ画像が保存されている事実がありますので、アプリからの使用においても、画像は一時的に保存されているでしょう。
- 他人の個人情報を含む画像
- 社内機密規定などで保護される情報を含む画像
こうした画像については、Googleレンズで使用することで、法律違反・規定違反となってしまう可能性も考えられます。
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