Word(ワード)の基礎をレッスンする中で、ちゃんと聞くまでは分かりにくい項目として、
- 両端揃え
- 左揃え
- 均等割り付け
は、何が違うのか? ということがあります。この記事はそれを解説していきます。
両端揃え・左揃え・均等割り付けの違い
両端揃え・左揃え・均等割り付けは、ともにWordの「ホーム」タブ、「段落」グループのボタンで設定できます。
サンプル文書
サンプルとして、次のような文書を準備しました。当ブログの別記事をWordに貼り付けたものです。
ひとつの段落が1~4行にわたるようにしています。初期設定では「両端揃え」になっています。
それでは、この文書の全体を選択して、
ここから、両端揃え、左揃え、均等割り付けのボタンを押してみます。
両端揃え
左揃え
均等割り付け
3つを比較してみる
いかがでしたか? 違いがお分かりいただけましたか?
均等割り付けは分かりやすいですね。
残り2つが分かりにくいので解説します。
このように、両方とも「一行より短ければ左に揃える」点は同じなのですが、行いっぱいに文字がある場合に、右端をガタガタにしてでも左に寄せるのか、右端はきれいにそろえるのか、という違いがあるのです。
でも不思議ですね。一行の文字数は同じはずなのに、どうして右端が自然にそろわないのでしょうか?
「両端揃え」なんてしなくても、文字数が同じなら、きれいに揃うのが普通じゃないんでしょうか?
どうして行の右端は「両端揃え」でないときれいにそろわないのか
「両端揃え」が必要な理由。
それは、「文字の大きさは、一文字ずつ異なる場合があるから」なのです。
文字のサイズは一文字ずつ異なる
次の画像は、ひらがな、漢字、英字、句読点など、いろいろな文字種をならべて大きさを比較したものです。フォントは「MS P明朝」で、「蛍光ペン」の機能で背景に色をつけています。
このように、文字の種類によってひとつひとつ横幅が異なるため、一行の文字数が同じでも、そのまま「左揃え」すると右端はガタガタになってしまうのです。
そこで「両端揃え」では、文字の間隔を非常に細かく自動的に調整して、右端がきれいにそろうような処理が行われています。
仕上がりがきれいな「両端揃え」が標準です
このように、「両端揃え」の方が仕上がりがきれいなため、市販の書籍や、論文などは、すべて「両端揃え」で編集されています。
このような、文字幅にかかわらず右端をそろえる技術は、英語では「ジャスティフィケーション」(Justification)と呼びます。
アルファベットの場合、文字の幅は日本語よりも極端に違います。たとえば
Alignment
と書くと、「A」がとても大きく、「l」「i」がとても狭いですね。このような英単語をならべた文章では、右端は日本語よりも極端にガタガタします。
ですので、「ジャスティフィケーション」は、アルファベットを使用する文化圏では、印刷物のレイアウトを行う上では最も基本的な技術のひとつとして、古くから発達してきたのです。
Wordでも、何もしなければ標準は「両端揃え」になっています。
文字ぞろえを変更した際は、なんとなく、どちらでもいいや、と選ぶのではなく、必ず「両端揃え」を設定するようにしましょう。
参考:「等幅フォント」と「プロポーショナルフォント」
細かい話をしますと、フォントには、すべての文字の幅が同じである「等幅フォント」と、文字の幅がひとつひとつ異なる「プロポーショナルフォント」があります。
「等幅フォント」の例
MS明朝、MSゴシック、游明朝、游ゴシック
「プロポーショナルフォント」の例
MS P明朝、MS Pゴシック
もうお気づきと思いますが、プロポーショナルフォントは、フォントの名前に「P」が入っています。
「MS P明朝」の文字幅
「MS 明朝」の文字幅
「P」が入っていない「MS明朝」の文字幅は、
- 全角文字、半角文字それぞれの幅はどの文字も同じ
- 半角文字は全角文字の半分
でピッタリ揃っています。
このような「等幅フォント」を使用している場合は、「両端揃え」と「左揃え」は、ほとんど同じになります。特に、全角文字だけで打たれた文章はまったく同じになります。
使用するフォントによっては、「左揃え」「両端揃え」の違いを感じにくい時があるのはこのためなのです。
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