当店受講生様からのご相談からの記事です。
お手持ちのWindows 10パソコンに、こんな表示が出ているが、どうしたらいいか? というご質問。
結論から言いますとそのままお使いいただいてまったく問題ありません、ということなのですが
その理由、どうしてこんな「赤い×」までついた、物騒なメッセージが出るのか? という点を解説していきます。
「Windows 11を実行するための最小システム要件」って何?
Windows 11の「システム要件」は、次のページが公式のものです。
プロセッサ
Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する | Microsoft
1GHz以上で 2コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)。
メモリ
4GB
ストレージ
64GB 以上の記憶装置(Windows Updateの実行にはそれ以上必要な場合も)
システム ファームウェア
UEFI、セキュア ブート対応
TPM
トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0
グラフィックス カード
DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応
ディスプレイ
対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ
これらの要件のうち、
- プロセッサ
- メモリ
- ストレージ
は、比較的簡単に確認することができます。
「設定」から確認できる項目
「エクスプローラー」から確認できる項目
5~6年以内のパソコンでこれらが満たせないことはまずない
最近5~6年以内に購入されたパソコンで、これらの要件が満たされていないことは、まずありません。
Windows 10のシステム要件は、確かにこれより相当メモリ(「実装RAM」)が少なかったりしますが、要件ギリギリで販売されたパソコンはほとんどないからです。
(ストレージがギリギリ64GB のパソコンはたまにありますが、これを増設によって増やすことはかなり難しいと思います。)
また、ディスプレイに関しても縦720ピクセルを満たさないことはほぼありません。
その他の要件は、そこまで根をつめて確認しなくても…
そのほか、
- グラフィックスカード
- UEFI
- TPM
という要件は非常に重要ですが、
経験上これらの要件を、そこまで根をつめて確認する必要はありません。
なぜなら、これらを満たしていないパソコンの場合、設定を変えたぐらいで満たせることはほとんどないからです。
UEFIはマザーボードが対応しているかどうかですし、TPMはCPUが対応しているかどうかです。
グラフィックスカードは、載せかえれば対応できる場合もありますが、そのためにグラボだけ替えるのが本当に割に合うのか?と思います。
Windows 10のまま使い続けてまったく問題ありません
いま当店では、Windows 11にアップグレードしたパソコン、Windows 10のままのパソコンの両方を併用しています。
その経験上からいいますと、Windows 10のまま使い続けてまったく問題ありません。
主要な機能はWindows 10でもまったく問題なし
両方のマシンを使っていて、Windows 11でなければ絶対に困る、という出来事は、今までまったくありませんでした。
逆に、Windows 11では正常に動かなくて困る、という事例は何件かありましたが…
Windows 11は、ゲーム性能が若干高い、と言われており、特定のゲームにおいて最適化がされていれば、大きなメリットになる場合もあるようですが
それ以外では「ちょっと便利な機能が加わった」程度です。
Windows 10のサポート期限は 2025年10月14日
Windows 10のサポート期限は 2025年10月14日まで、と発表されています。
※ただし、Windows Updateにより、バージョン「21H2」以降に更新する必要があります。
本記事執筆時点から、3年以上あります。急いで変えなければパソコンが使えなくなる、ということではありません。
パソコンの進歩と低廉化を考えれば、3年後までに買い替えるのがおすすめ
いまパソコンの性能は非常にはやい速度で進歩しており、発売時期が数年違うと、体感的な速度や快適性が段違い、ということもあります。
当店が一番それを実感したのは、新世代のSSD、「m.2」が登場した時です。ハードディスクがSSDに変わった時も、起動速度やアプリの反応が段違いに速くなりましたが、「m.2」SSDの登場以降、本当にパソコンは速くなりました。
また、例えば同じグレード「Core i3」のCPUでも、「世代」によって速度は大幅に違います。
第8世代 Core i3-8140U が PassMarkスコア 4227に対して
第12世代 Core i3-12100TはPassMarkスコア 12767
とあります。ほぼ3倍スコアが違います。
実際に、相当昔に30万円したCore i7のパソコンよりも、新しく購入した10万円のCore i5の方が、動画のエンコードが速かった、ということがありました。
いっぽう、パソコンの価格もだんだん下がってきています。ハイエンドの価格はまあそれなりにしますが、性能自体が上がっているために、安価なceleronのパソコンでも日常の用には足りてしまう、ということも多いです。
古いパソコンにいろいろ手を加えてWindows 11に対応させるよりも、Windows 10のサポート期限が切れるまでに新しいパソコンを購入した方が、断然お得だと思います。
その他参考までに
要件を満たさない理由は、ほとんど「TPM」
実は、Windows 11の要件を満たさない理由は、ほとんど「TPM」の問題です。
ちょっと難しい記事でしたが、簡単にいうとTPMとは暗号鍵を保管する頑丈な金庫、のようなものです。
Windowsにログオンするときに、パスワードのほか、PIN、さらに指紋認証や顔認証が利用できるようになっています。「Windows Hello」という言葉をみかけたこともあるかと思いますが、この「Windows Hello」の基盤になっている技術です。
その先には「パスワードレス認証」、つまり、あの煩雑なパスワードとおさらばしよう、という壮大な話がつながっています。
こうした、新しい、「かんたんだけどセキュアなネット社会」の実現のために、MicrosoftはWindows 11でTPM2.0の必須化にふみきったと考えています。
残念ながら、ちょっとした設定の変更ぐらいでTPM2.0に対応することはできません。ですので、古いパソコンをWindows 11に無理して対応させようとするよりも、買い替えを視野に入れた方がよい、と思います。
実はWindows 11非対応パソコンにも入れられますが…おすすめしません
実は、いろいろな回避手段を使って、Windows 11非対応と表示されたパソコンに、Windows 11をインストールすることも、できなくはありません。
ただし、これはあくまでも動作確認や開発用と考えてください。記事内にあるように、多くの制限事項が存在し、それを理解した上でなければ、さまざまな不利益があります。一般にはおすすめできません。
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