「おすすめのプリンターはどれ?」元プリンター売り場担当者が語るプリンター選び

プリンターのインクを交換しているようす パソコンサポート
パソコンサポート

先日受講生の方から、ご相談がありました。

「プリンターが欲しいんですけど、おすすめのプリンター、どれですか?」

「はい、これです! 」
……と言えれば簡単なんですが、

「自分に合ったプリンター」って、結構むずかしいんです。

筆者はしばらく、家電量販店のプリンター売り場にいたのですが、
知人やCMのすすめで「これがいい!」と決めてきた方が、
用途と正反対のまったく不向きなプリンターを、いいのだと思い込んで購入しようとしていた、という事例がたくさんあります。

いったい何を考えて、どうプリンターを選ぶべきなのか、まとめておきたいと思います。

例として掲載しているプリンターは、2020年7月現在のカタログ掲載機種です。

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光沢紙(写真用紙)の印刷は「染料インク」で

光沢紙というのは、こんな紙のことです。

写真用光沢紙。表面に蛍光灯が写り込んでいる。
写真用光沢紙

「写真がきれいなプリンター」と一言で言ってしまいがちなんですが、実は同じプリンターでも普通紙と光沢紙では、全然話が違ってくるんです。

「染料インク」と「顔料インク」の違い

インクジェットプリンターのインクは、「染料インク」と「顔料インク」の2種類があります。

染料インク:紙にしみこむ
顔料インク:微粒子が紙の表面で固まる

表面につやのある「光沢紙」に印刷する場合、
染料インクのプリンターを選ぶ必要があるのです。
顔料インクを使うと表面の光沢が消えます。発色もよくありません。

光沢紙に印刷すると、顔料インクの方は色がくすんで見える。
染料インクで印刷した方は、光沢がきれいに残っている。
顔料インクの方は光沢がくすんでいる。
光沢紙の場合
染料インク:光沢層そのものが着色される
顔料インク:微粒子が光沢層を隠してしまう

光沢紙には「5色以上のプリンター」がおすすめ

写真を表現するには「色の3原色」、青・赤・黄(シアン・マゼンタ・イエロー)の3色のインクを使います。
ところが、インク3色をいくら混ぜても、灰色にしかなりません。

このため、写真向けをうたうプリンターでは、「染料黒」を別に用意して4色染料の構成にしています。

4色染料のプリンターは、実際は「5色」のプリンター

4色染料のみ搭載のプリンターというのは、実際にはありません。
4色に文字用の顔料黒を足して「5色プリンター」として販売されています。

プリンターインク 4色と5色の違い
5色プリンターには、赤枠で囲った「染料黒インク」が追加されている
5色プリンターには、赤枠で囲った「染料黒インク」が追加されている

黒が1本しかない「4色」のプリンターは、その黒は「顔料」なので、写真の印刷では使えません。

写真をきれいに印刷したい場合は、「5色」以上のプリンターがおすすめになるのです。

6色以上のプリンターは写真がさらにきれいに

キヤノン・エプソンの主力モデルは、どちらもインク6色です。(色の構成は少し違います)
三原色を混ぜただけでは十分に表現できない、微妙な色合いを、中間の色のインクを足すことでよりきれいに表現できる、ということです。

写真がきれいになりますが、それだけインク代は多くかかります。Lサイズのインクが一本1700円くらいなので、ワンセットで3500円くらい増えます。

6色のプリンターは実際どれほどきれいなのか?

「インク代が変わるのは分かったけど、実際5色と6色で、どれぐらい画質が違うんですか?」というご質問をよく売り場でいただきました。

比べれば違う程度」としか感じない方も多いと思います。
しかし、肌色などは、よく見るとかなり違うのも事実です。

教室に全機種そろってないので、サンプルが掲載できないのですが、
気になる方は、ぜひ売り場にあるサンプルを見て決めてください。

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普通紙しか印刷しないなら、顔料インクがおすすめ

光沢紙は一切印刷しない場合は、インクは顔料の方がおすすめです。

染料インク:紙にしみこむ
顔料インク:微粒子が紙の表面で固まる

普通紙に印刷する場合は、染料インクだと、どんどん紙にしみこんでしまって、色が薄くなります。輪郭もぼやけて、にじんだような印刷結果になります。

顔料インクにすることで、普通紙の表面にしっかりと色がつき、固まります。くっきりと印刷できますし、乾いてしまえば濡れてもほとんどにじみません。

スーパーファイン紙、マット紙など、光沢のないインクジェット紙に印刷すると、発色がさらによくなり、とても美しく仕上がります。当教室の店頭POPなどは、すべてこの方式で、マット紙に写真や文字を印刷しています。

顔料インクは水にぬれてもにじまない

試しに、顔料インクと染料インクで印刷したものを、水にぬらしてみると、違いがもっとよく分かります。

顔料インクと染料インクで普通紙に印刷したチラシ
顔料インクと、染料インクで、普通紙に印刷したものを・・・
印刷物を水でびしょびしょに濡らしているところ
びしょびしょに濡らしてみます。すると・・・
びしょびしょにぬらした結果。顔料インクの方は、乾かせば普通に読めますが、
染料インクは完全にインクが流れてしまっています。
こんなに違いが出ます。顔料インクの方は、乾かせば普通に読めますが、
染料インクは完全にインクが流れてしまっています。

普通紙だけなら、レーザープリンターという選択肢も

完全に普通紙しか印刷しない、という方は、インクではなくトナーを使う「レーザープリンター」も選択肢に入ります。

サイズが大きくなり、印刷コストも最近の格安インクジェットに比べれば高いですが、

  • トナーなのでまったくにじまない
  • 印刷がシャープできれい
  • 印刷速度が速い

というメリットがあります。

カラー印刷自体が必要ない方はモノクロプリンターで

写真なんか印刷しない、書類ばかりだ、という方、
そもそも、カラー印刷が本当に必要ですか? 白黒でも全然いいですか?

黒だけでいいなら、本当にインクが黒しかないプリンターがベストです。

黒専用プリンター PX-K150のインク。本当に黒しかない。

特にインクジェットプリンターの場合、黒しか印刷しなくても、カラーインクは少しずつ減っていきます。これは、次の項目で説明するような、ヘッドの目詰まりを防ぐためです。

黒しか印刷しないから、黒しか減らない、というわけにいかないのです。結局は、使いもしないカラーインクを買うはめになります。

ですから、白黒印刷で済む方は、最初から黒インクのみのプリンターの方が圧倒的に良いのです。

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ほとんど印刷しない方は、インクの目詰まりに注意

プリンターを選ぶ上でもうひとつ大切なのは「印刷の頻度」です。

インクジェットプリンターは、インクを微細な穴から噴き出して印刷します。

※キヤノンのインクジェットは動作原理が違いますが、インクを吹き出すことは同じです。

この吹き出し口には、通常キャップのようなものはありません。印刷しないで長期間放置すると、この穴に残ったインクが乾燥して目詰まりを起こします

インクノズルチェックパターン
目詰まりしていると、中抜けが発生する
プリンターで「ノズルチェック」を実施するとこのような結果が印刷されます。

軽い目詰まりであれば、ヘッドクリーニング治りますが、重いものになると少々ヘッドクリーニングしたぐらいでは治りません。

また、ヘッドクリーニングは、意図的に大量のインクを吐出させて目詰まりを取る作業なので、インクコストがとても高くなります。

治せない目詰まりが発生する目安として「一ヶ月」です。一ヶ月、まったく電源も入れないで印刷もしなかったインクジェットプリンターは、だいたい目詰まりを起こします。

「めったに印刷しないからインクは減らないだろう」というのは間違いなのです。めったに印刷しないと、使う時に毎回ヘッドクリーニングするはめになり、膨大なインクを無駄にしてしまいます。

めったに印刷しない方には「ヘッド一体型インク」のプリンター

実は、このように「めったに印刷しない方」に最適なインクジェットプリンターというものが存在します。

プリントヘッドとインクカートリッジが1つに
ヘッド一体型インク

このタイプのインクです。「ヘッド一体型インク」といいます。

「HPのインクは高い」ってどこかで聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。高い理由は、このヘッドです。

ヘッド一体型インク

このように、インクそのものの下にプリントヘッドが一体化されています。

インク高い→「インクを交換するたびに毎回ヘッドが新品になる」素晴らしいプリンター

このタイプのプリンターの最大のメリットは、なんといっても
「インクを交換するたびに、プリントヘッドが新品になる」
ということです。

目詰まりしても、インクを変えれば完全に復活する

ということなんです。

独立型インクのプリンターは、ヘッドが本体側についてますので、どんなにひどい目詰まりでも延々とクリーニングを繰り返すしか手がありません。

そうやってクリーニングで膨大なインクを消費するくらいだったら、最初からヘッド一体型インクのプリンターの方が、断然安上がりで、あてにできるのです。

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大量に印刷する方は「エコタンク」「大容量インク」タイプのプリンターがお得

逆に、大量に印刷する方が一番気になるのは「インクコスト」だと思います。

以前は、仕事やお子様のプリントなどで大量に印刷する方は、メーカー純正ではない「詰め替えインク」を使って、大幅なコストダウンするのが普通でした。

しかし最近、「メーカー純正の詰め替えインク」のような仕組みを装備したプリンターが出回るようになり、家庭でも手軽に大量印刷できるようになりました。

教室でも、初期型のエコタンク対応のプリンターを使っていますが、

とにかくインクコストが安い。これに尽きます。

1000円ちょっと×4本~5本でワンセット、詰め替えインクを買うと、半年ぐらい持つのです。

その分、プリンター本体の価格は高めですが、手軽にどんどん印刷できる感じです。メーカー純正インクですので、メーカー保証もちゃんと効きます。

最近は売り場でこのタイプのプリンターをすすめられる方も多くなってきたようです。
しかし、どんな方でもこのタイプがおすすめ、というわけでもありません。

エコタンク/大容量インクタイプのプリンターにするべきかどうかの判断基準として、当店では、

おおまかにいって2ヶ月でコピー用紙1束(500枚)を使い切ってしまう方

と申し上げておきたいと思います。

テレワークや、お子様の学習プリント、お店の伝票など、「買っても買ってもインクがすぐ空になる」という実感のある方は、断然このタイプがおすすめです。

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このほか、プリンターを買う時気にしたほうがいいこと

このほかに、プリンターを買う時は、次のような点をはっきりご自身で考えてから選ぶのがよいと思います。

スキャナーは必要ですか?

各プリンターメーカーのおすすめ機種は、ほとんどスキャナー付きの「複合機」です。

価格も、スキャナー付きの方が安い場合もありますので、不要な方もスキャナー付きにしても構わないのですが、
スキャナー無しの方が置き場所が小さく済んだり、操作がシンプルだったりします。

A4より大きいサイズの印刷は必要ですか?

これは結構重大問題で、プリンターは圧倒的に「最大A4サイズ」のものが多いのです。

A3判まではいらない、と思っていても、「A4判が入る封筒」(角型2号)の印刷はA4プリンターではできません。

また、「A3に印刷して2つ折りする」必要がある書類もあります。

安いからとA4プリンターを買ってしまうと、これらはすべてできません。ご注意ください。

FAX機能は絶対に必要 / あった方がいい / なくてもいい?

FAXの送受信が多い方は、FAX付きプリンターにすると、FAXの印刷も同時にできてしまうので便利です。

また、プラザーからはFAX/電話機付きのプリンターも販売されています。

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【高級写真プリンター】一眼レフのカメラをお持ちなら…

最後に、「高級写真プリンター」というものがあることもお知らせしておきたいと思います。

普通のデジカメやスマホの写真にはもったいないですが、一眼レフのカメラがあり、写真展に出すような方は、これが一押しです。

動画を見て、欲しくてたまらなくなった方は、迷わずこのタイプを選ぶのがよいかもしれません。

ただし、この写真高画質タイプのプリンターで普通の文書も印刷しよう、などとは絶対に考えないでください。遅い、高いで良いことはありません。

文書の印刷は、別の文書用のプリンターでなさってください。

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