偽造マイナンバーカードを使った詐欺事件が続いたため、携帯電話の契約時にICチップの読み取りを義務化する方向性が打ち出されました。
本記事では、
・ICチップ読み取り義務化の時期と内容
・ICチップ読み取りの方法(スマホ/パソコン)
・よくある誤解についての解説
をまとめていきます。
ICチップ読み取り義務化は令和7年度(2025年度)以降
実際にICチップ読み取りが義務化されるのは令和7年度になる見込みとなっています。
本記事執筆時点(2024/11)では、「WG報告」のパブリックコメントが行われています。
(2024/11/9まで受付)
2024年内には省令案が出てきて、パブコメも行われるのかな、という今のところの感触です。
「十分な準備期間」というのは、おそらく、実際の窓口でICチップ読み取り確認が行える体制づくりも含めた期間ではないかと思います。
マイナンバーカード以外は使えなくなる「わけではない」
今回の方針により、マイナンバーカード以外の身分証が全部使えなくなるわけではありません。
WG報告案では、次のようになっています。(意訳しています)
1. オンライン申込では、紙媒体での本人確認は廃止
2. 店頭申込では、ICチップ付身分証を使い、ICチップで本人確認する
3. 何らかのやむを得ない理由により、ICチップ付本人確認書類がない場合は、例外的に、代替手段として、ICチップなしの本人確認書類も認めることも検討
ICチップ付身分証には4種類あります。おそらく全部使えます。少なくとも、マイナンバーカードだけ、ということは、どこにも明記されていません。
現在あるICチップ付身分証
・マイナンバーカード
・免許証
・パスポート
・在留カード・特別永住者証明書
また、この4種類がどれもない方は、保険証(廃止後は資格確認書)などでの確認は当然行われると考えています。
ただし、偽変造のおそれは高いとみなされるため、その場では申し込みが完了せず、本人限定郵便を送って、届いた郵便物を持って再度来店するなどの手間は必要になるかもしれません。
身分証のICチップ読み取りの方法(スマホ)
デジタル庁「マイナンバーカード対面確認アプリ」
マイナンバーカードのICチップを読み取って確認するための、専用アプリが、デジタル庁からリリースされました。
下記よりインストールできます。
使用方法は、当店YouTubeチャンネルに動画を上げましたのでご覧ください。
うまくいかないケースが多々あるため、その場合の対処も含めた動画となっています。
パスポート・免許証・在留カードが全て読み取れる「IDリーダー」アプリ
・免許証
・パスポート
・在留カード・特別永住者証明書
この3種類のICチップをすべて読み取り確認できるアプリが、民間企業から出ています。
「IDリーダー」アプリです。
下のボタンは、それぞれのインストールページにリンクしてあります。
運転免許証のICチップを読み取る操作はこんな感じです。免許証取得・更新時に設定した「4ケタ×2組」の暗証番号を使用します。
なお、スクショを見て分かる通り、マイナンバーカードも読み取れますが、これはデジタル庁のアプリとは別の方式です。「IDリーダー」アプリでは暗証番号が必要なため、「顔認証マイナ」など、暗証番号がないマイナンバーカードの確認には使えません。
パスポートは世界共通規格=対応するどのアプリでも読み取れます
パスポートのICチップは、世界共通規格のため、アプリストアで「パスポート読み取り」などと検索して出てくるどのアプリでも同じように読み取れます。
在留カード等のIC読み取りは専用アプリが出ています。
在留カード・特別永住者証明書のICチップ読み取りは、出入国管理庁から専用アプリが出ています。
下記のリンク先に、パソコン・スマホそれぞれのインストールリンクがあります。
身分証のICチップ読み取りの方法(パソコン)
パソコンとICカードリーダーがあれば、パソコンでもICチップの読み取り確認を行うことができます。
マイナンバーカード・運転免許証のIC読み取りは、J-LIS提供のアプリ
マイナンバーカードと運転免許証が両方読み取れるアプリを、マイナンバーのシステム管理元・J-LISが出しています。こちらを使うのが最も一般的でしょう。
下記ページの最下部にインストールリンクがあります。Windows用です。
使い方を動画にして公開しましたのでご覧ください。
パスポートのICチップ読み取りができるパソコン用アプリ
パスポートのICチップを読み取れるアプリは、スマホ版はたくさん出ているのですが、パソコン版が、どうもあまりたくさんはないようです。
スマホ版でご紹介した「IDリーダー」のパソコン版が一番使いやすいかと思います。Windows版(Microsoft Store配布)
在留カード等の読み取り用アプリ
在留カード・特別永住者証明書のICチップを読み取れるパソコン用アプリは、スマホ用と同様、出入国管理庁から出ています。
下記ページにインストール用リンクがあります。Windows, Macともあります。
「マイナンバーカードのICチップ読取義務化」よくある誤解について
マイナンバーカードのICチップ読取が義務化される件について、誤解と思われる記事や見解が時々あります。注意すべきポイントがずれてしまうので、正しく知っていただく必要があると思っています。
「マイナンバーカードのICチップを読み取る」の意味、実は3種類ある
「ICチップを読み取って確認」と一言でいいますが、実は、ICチップの中身はいくつかの異なる機能に分かれています。
携帯電話を契約する際のICチップ読取では、
緑色の範囲の機能が使われます。
この部分は、「公的個人認証」ではありません。
カードに印刷されているのと同じ情報をICチップからも読み取って、合っているか確認するための機能です。ですからカードが本物か偽物かの確認しかできません。
ですから、次のような心配は無用です。
・携帯ショップでマイナンバーカードを読み取ると、
→健康保険や収入の情報までショップに知られる
→銀行口座が紐づけられてしまう
→役所に通知が行く
などなど
あくまでも、本物か偽物かの確認のため、実際にICチップを読み取り、表面に書かれている情報とICチップの中身が一致するかの確認が行われるだけです。
「暗証番号(パスワード)を入力してください」と言われたら要注意
マイナンバーカードのICチップを読み取る時、それがどのような目的であるのかは、入力を求められたパスワードの種類によって分かります。
マイナンバーカードを読み取る時、『暗証番号を入力してください』と言われたら、いま何のために読み取ろうとしているのか注意深く確認してください
ただマイナンバーカードが本物かどうか確認するだけのために、暗証番号やパスワードの入力を求められることはありません。
もし求められたら、「暗証番号は必要ないですよね?」といって、断りましょう。
マイナンバーカードの読み取り確認をする際、お客様から「読み取って大丈夫なんですか」等のご質問があった場合は、
「はい、暗証番号はご入力いただかないため、単にこのカードが本物かどうかを確認することしかできません。ご安心ください」等と説明するとよいと思います。
マイナンバーカードのパスワードは決して他人に教えないでください
マイナンバーカード自体は、仮に落としてなくしても、それだけでは不正利用は簡単ではありません。
ですが、暗証番号(パスワード)とセットでなくすと、悪用される危険があります。
マイナンバーカードとパスワードは、別々に保管してください。
※介護をされる場合など、どうしてもパスワードを預かる場合があると思います。マイナンバーカードと一緒にパスワードをなくす、盗まれることがないようにご注意ください。
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