この記事は、2019年台風19号のまっただなかで書いています。
昨夜、受講生の方からお電話でこんな質問が寄せられました。
「台風だから、帰る時ちゃんとパソコンをシャットダウンしといてね!」
と言われたんですが、
台風のときはパソコンの電源は落とさないといけないんですか?」
このようにお答えしました。
「電源が急に落ちると、データが消えたりするリスクはありますが、
それを理解した上で、使っていただいて構いません。」
電話口なので、こんなお答えしかできませんでしたが、台風がまだそのへんにいるうちに、こちらに少し詳しいお答えを書いておこうと思います。
台風通過前に公開しますが、つづけて加筆・写真などを追加していきます。
台風や雷雨の中でパソコンを使うときの「リスク」を正しく知る
停電によるリスク
バッテリーのついていないパソコンは、停電した瞬間に動作が止まります。
作っていたデータが消えるだけでなく、それを裏で支えているプロセスがすべて、強制的に電力を失うわけですので、
再起動したときに、特にハードディスクは破損している可能性があります。
機械的な破損もありうるし、そうでなくてもWindowsそのものが破損している可能性があります。
バッテリーがついているノートパソコンは、この点に限って言えば大丈夫。無停電電源装置があれば停電による破壊は防げます。
(ただし、つづく高電圧のリスクについては、ノートパソコンといえども変わりません)
瞬間的な高電圧によるリスク
雷の場合は分かりやすいですが、送電経路に落雷した場合、瞬間的に非常に高い電圧がコンセントまで来ます。
台風による停電の場合については、あまり書かれていませんが、
停電のしかたによっては、電線が切れる際の瞬間的なショートが発生する可能性があり、やはり瞬間的な高電圧は可能性あると言えます。
コンセントに高電圧がかかると、パソコン内の「電源装置」に高電圧がかかります。
すると、電源装置からの出力にも高電圧が出力され、パソコン内のパーツ内部が破壊されたり、煙があがり内部が焼けこげるといった可能性もあります。
(電源装置に適切なヒューズや安全装置がある場合はセーフなこともあります)
家屋内の漏水・漏電によるリスク
家屋の中の電気配線は、コンセントの向こう側がすべて壁や天井の裏にかくれています。
台風の暴風雨によって、壁や屋根から水が浸入した場合、居住スペースは何ともなくても、壁の中の電線が浸水する場合があります。
すると、電気がショートしたり、漏電して、高電圧または不安定な状態が発生し、雷と同じようなダメージをパソコンに与える場合があります。
「純粋な」停電以外はノートパソコンも被害あるので注意
いろいろな記事を見渡すと「ノートパソコンは大丈夫」的な記述が多いですが、それはおかしいです。
ノートパソコンはバッテリーがあるので、停電してもいきなり電源が落ちることはありません。
でも、高電圧がかかると破損することには変わりありません。むしろ、リチウムイオンバッテリーがありますので、不測の事態においては破裂などのリスクはあります。(内部の回路で保護はされていますので、雷→即破裂ではありません)
リスクを知った上で、台風のなかでパソコンを使う
使うかどうかは、リスクとメリットの判断
こんなリスクの中でも、当店は「パソコン使って構いません」とお答えしました。
皆さんご存知のように、台風の時は家や事務所にカンヅメになりますので、パソコン作業の絶好の機会です。こんなに集中して作業できる機会はそうそうありません。
その中で、「パソコン危ないから使わないで」とは、当店には言えません。
リスクを知った上で、対策をして、使っていただければ問題ありません。なにかあったら損失がありますが、上回るメリットがあるのであれば、みすみすパソコン電源落として台風が過ぎるまで寝ていることはありません。
雷サージ対策付き電源タップを使用する
電源タップ、いわゆる「タコ足」のなかには、「雷サージ対策」がついているものがあります。
送電線側から急激な高電圧がくると、自動的にカットする回路が入っていますので、100%ではありませんがかなり安全になります。
教室の電源タップは、すべてこのタイプを使用しています。
電源が不安定だと感じたらシャットダウン
完全な停電でなく、電圧が不安定になっている時は、パソコン上になんらかの影響が「目に見える」こともあります。
モニタが一瞬消える、冷却ファンの音が不安定になる、など、
電圧が不安定になる兆候が見えたら、すぐにシャットダウンしてください。
間に合わないことの方が多いですが、間に合ったらラッキーです。
データのバックアップはOneDrive/iCloud/Googleドライブがおすすめ
台風や雷雨の中では、大切なデータのバックアップをとって作業しましょう。
大きなデータだと、外付けハードディスクなどに退避する必要がありますが、日常的な文書などであれば、「クラウドサービス」の利用がおすすめです。
- OneDrive(マイクロソフト—Windows10標準)
- iCloud(Apple–Mac標準)
- Googleドライブ(Google—設定すれば利用可能)
例えば、通常「ドキュメント」に保存するところを、「OneDrive」に保存しながら作業すれば、保存した数秒後にはクラウドにバックアップされますので、たとえパソコンが突然落ちて買い替えるはめになっても、サインインするだけでその時点のデータがすべて戻ってきます。
ワード・エクセルなどは、OneDriveに自動保存する機能もあります。これだと上書き保存する必要もありません。
クラウドサービスのIDとパスワードは、かならず安全に保管してください。
なにかあったら買い替えると覚悟を決める
瞬間的な高電圧などで破損したパソコンは、ほぼ修理できません。
ですが、サインインしただけでデータが戻ってくるならば、買い替えも金銭的な負担にとどまります。
とどまります、と言っちゃあなんですが、昔の20万円を簡単に超えたころに比べれば、「何かあった時にとるリスク」としては、まずまず現実的な価格で新品のパソコンが手に入ります。中古だとさらに安くなります。
「パソコンが壊れたら大変」という気持ちの半分以上は、「データが壊れたら大変」なので、
クラウドサービスを活用してデータの安全をはかれば、かなりちがうはずです。
もし停電したら、ブレーカーを落としましょう
台風の中で、もし停電したら、「パソコンの電源コンセントは抜きましょう」という記事が多いですが、ちがうと思います。
停電したら、復旧が確認されるまで、家全体のブレーカーを落とすべきです。
電源再開時に、急な高電圧がかかることがある、というのが理由なんですが、
過去に、「電気が復旧した時、電気ストーブがいきなり崩れた布団の下で再作動し、火災になった」といった事例があるのは皆さんご存知だと思います。
とくに長い停電のあとは、復旧することでさまざまなリスクが生じることがあります。
いったん家全体のブレーカーを落とす方が賢明です。
(でも、落としちゃうと、復旧した時に分かりにくいですけど・・・でも、ブレーカー入れっぱなしで復旧を待ち、電気会社任せでいきなり繋がるよりも、自分の手でスイッチを入れた方が安全だと思います。)
台風の一日を有意義に過ごしましょう
以上、台風のなかでパソコンを使う上で必要な心構えについて書きました。
ここまで書いて1時をすぎました。首都圏のJR・私鉄がほとんど全部止まる時間です。スーパーも飲食店も閉まっています。
忙しい毎日のなかに突然あらわれた、この恐ろしいけど貴重な空白の時間、有意義に使いましょう。
千葉のお宅でブルーシートが風に舞っている映像が映りました。パソコンどころではないお宅も多いと思います。どうか皆さんご無事で。一刻も早く生活を取り戻すことができますよう。
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