エクセル(Excel)の基礎レッスンをしていて、多くの方が「ちょっとひっかかる」ところ。
それが「割合の計算」です。
例えばこんな計算。
- 売上目標と、売上高から、「達成率」を計算する。
- 全店舗の売上高と、志木店の売上高から、「構成比」を計算する。
- 総人口と、10代の人口から、「10代が占める人口比率」を計算する。
こんな問題にとりくむ時、ほとんどの受講生の方からこんなご質問があります。
- 「達成率」「構成比」という言葉を読んでも、「いったい何を計算するのか分からない」
- 割り算だということは分かるけれど、「何を、何で割るのか分からない」
- なんとなく計算方法は分かるけど、「どっちをどっちで割ったらいいのか、分からない」
この記事では、そんな疑問をお持ちの方と一緒に、
「割合」って、一体なにものなのか?
「分かりやすい考え方」はないのか?
を、考えていきたいと思います。
そもそも「割合」って何でしょう?
そもそも「割合」って何?
何のためにあるの?
というお話から始めてみたいと思います。
数字の大きさを体感するために、「基準」をきめて比較するのが「割合」
「割合」の意味を説明すると、こんなふうになります。
ある数字の「大きさ」を体感するために、基準を決めて、その基準と同じなら『割合は1』と考えてみたもの
さいしょで見た例を、もういちど見てみます。
売上高は 987,635円です。99万円ぐらい、およそ100万円を売り上げていますね。
結構売れてるじゃない! とか、たったそれっぽっちの売上? とか、いろんな感想があるかと思いますが、
果たしてこの店舗は、売れているのか? 売れていないのか?
いろんな視点がありますが、
「年間の目標に比べて、どのくらい売れている?」と考えてみます。
表を見ますと、年間目標は1,250,000円です。
そこで、ここで割合の計算をします。
目標のうち、どのくらいの売上を達成したか。「達成率」です。
[売上高] ÷ [売上目標] = [達成率]
987635÷1250000 = 0.790108
達成率は 0.79 ぐらいです。
1よりだいぶ小さいので、まだまだ売り上げが足りない! と分かります。
これが、「割合」を計算する意味です。
多くの方におなじみがあるのは、野球の「打率」です。
「.295」は、先頭のゼロを省略しています。[ヒット数67] ÷ [打席数227] = 0.295です。実況では、よく「2割9分5厘」と読みますね。
「割合」に100を掛けると「パーセント」
Excelのレッスンでは、「割合」をさらに「パーセント」で表示してください、という問題がほとんどですね。
- 「割合」→基準と同じ大きさの場合は、「1」と考える
- 「パーセント」→基準と同じ大きさの場合は、「100」と考える
という、これだけの違いです。
「割合」に100をかけると、「パーセント」になります。
達成率: 987635 ÷ 1250000 = 0.790108
パーセント: 0.790108 × 100 = 79.0108
→約79.0パーセント(小数第一位まで表示した場合)
Excelでは、「表示形式」をパーセントにすると、自動的に100をかけて表示されるようになっています。
小数で0.790108と言われても、けた数をいち、に、さん……と数えないと分かりにくいですよね。
そこで、小数点を二つ右→に移すことで、パッと分かりやすくしたものが「パーセント」です。
※「パーミル」(記号‰)というのもあります。もっと小さな割合を扱うとき、例えば0.079 のような割合のときは、100ではなく1000をかけて、79パーミル(79‰)といいます。
「割合」の計算式が書けるようになるには、どう考えたらいいのか
「割合」の計算は割り算。
さて、「割合」の基本をみてきましたが、実際の計算方法は「割り算」です。
- 「達成率」
→例えば、[売上高] ÷ [年間目標] - 「構成比」
→例えば、[一店舗の売上高] ÷ [全体の売上高] - 「出席率」
→例えば、[出席者数] ÷ [全学生数]
どの場合も、
[大きさを体感したい数字] を [基準にする全体の数字] で割っています。
どんなとき「割合」なのかは、練習問題で身に付けよう
MOS試験の問題文などでは、「割合」という単語で書いてあることは少なく、
「達成率」「構成比」「出席率」……
このように様々な言い回しを「あっ割合だ」と理解するよう求められます。
これらの言葉が「割合」を意味するのだ、と分かるようになるには、
これは練習問題にたくさん当たって、覚えていくしかありません。
実務経験を積む、ということは、このあたりが分かるようになる、ということでもあるのですが、
実務についたことがなくても、練習問題にあたることで、身に付けることはできるわけですね。
どっちをどっちで割ったらいいの?
次に問題なのは、「どっちをどっちで割るのか?」ということですね。
[大きさを体感したい数字] を [基準にする全体の数字] で割る
と言っても、実際その場になると、
「あれ?どっちをどっちで割るんだっけ??」
と分からなくなる時があります。
当教室でお伝えしている、「分かりやすい考え方」を2種類、ご紹介します。覚えやすい方で覚えてください。
考え方1:
実は誰にでもわかる「どっちをどっちで割るの?」
実は、「どっちをどっちで割るか」は、多くの皆さんが簡単に分かる方法で決定できます。
この表を見て、
「各店舗は売り上げを達成したか、
していないか?」
分かりますか??
まず、店舗1の方で考えてみましょう。
- 店舗1は、売上高が目標より少ないから、達成していないですね!!
- だったら、達成率は1より小さいですね!!
- では、小さい方を大きい方で割りましょう!!
- 計算式は [売上高] ÷ [売上目標] → =C2/B2 ですね!
はい、この考え方でOKです!!
簡単でしょう??
こんどは、店舗2の方で考えてみましょう。
- 店舗2は、売上高が目標より大きいから、達成していますね!!
- だったら、達成率は1より大きいですね!!
- では、大きい方を小さい方で割りましょう!!
- 計算式は [売上高] ÷ [売上目標] → =C3/B3 ですね!
どちらの場合も、正しく[売上高] ÷ [売上目標] と、計算式が作れましたね!
実は多くの方が、
「達成したか達成してないか」
割合が1より大きいか、1より小さいかを見分ける力
は持っていらっしゃいます。
その力をうまく活用すれば、割合の計算式は簡単に作れるんです!!
考え方2:
いったん分数にして考えよう
もうひとつ、受講生から人気のある考え方があります。
「いったん分数にして考える」というものです。
という分数を考えます。
これは、「全体が2のうち、1にあたる大きさ」を表します。2が全体(基準)で、1が部分です。
1 ÷ 2 = 0.5 となります。
分数の上(分子)を、下(分母)で割ればいいんです。
そこで、これを割合の計算にあてはめてみます。
各店舗の売上高が、「どのくらい売れたのか」を体感するには、
体感したい数字(部分)→「売上高」
体感の基準(全体)→[売上目標]ですね。
分数にするととなります。
を割り算になおすと、正しく[売上高] ÷ [売上目標] という式がみちびかれます。
自分に合った「考え方」を身につけて、「割合」に強くなろう!
いかがでしたでしょうか。「割合」の計算は、実は皆さんが日常のなかでしょっちゅうやっていることなんです。
それがExcelになると、なんだか難しく感じるのは、その日常の考えをExcelの数式に移すのが難しいだけだと思います。
いまご紹介した中で、何かヒントになることがあれば、ぜひ活用していただいて、「自分なりの考え方」をみつけてください!
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