昨夜、Appleのイベントで、新しいiPhone, 「iPhone 7/Plus」が発表されましたね。
大々的に「おサイフケータイ対応!」と見出しが出たサイトもありましたが、その後、この表現が訂正されているサイトがあることにお気づきですか?
「モバイルSuica」という表現を使ったサイトもありましたが、こちらも単に「Suica」という表現に改められているところが結構あります。
そう、確かに、新しいiPhoneにSuicaを登録すれば、改札を通れることに間違いはないんです。とっても画期的なできごとです。
しかし、なんだか微妙にニュアンスが違う・・・この違いはなんなんだろう!? というのを、この記事で解説していきます。
結論からいいますと、「今までのおサイフケータイよりすごいことが起こるかも!!」ということなんです!!
発表されたiPhone7の概要
詳しい解説は、他のサイトにたくさん掲載されていますので、当ブログでは簡単に特徴をあげるだけにします。
iPhone7 / iPhone 7 Plus
- サイズは6/6Plusよりも少し小さい
- Retina HDディスプレイ採用
- A10 Fusionチップで高速化・省電力化
- 容量は32GB,128GB,256GB (64GBはない)
- 「防沫・耐水」仕様(IP67等級=「完全な防塵」「水面下・15㎝〜1m、30分間」)
- f/1.8のカメラで暗いところでもくっきり撮れる
- 7Plusはもうひとつのカメラがあり、望遠に対応。
- Felicaに対応し、Suicaを入れたiPhoneで改札も通れるようになった
- イヤホンジャック廃止(当面はアダプタ同梱でイヤホンジャックにも対応)
Apple公式:http://www.apple.com/jp/iphone-7/
解説ページ:Apple、「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」発表 防水仕様、FeliCa対応」–ITmediaニュース
改札が通れるのに、「おサイフケータイ」じゃない!?
さて、ここから本題になります。iPhone7は、上記のように「Felica対応」となっており、「おサイフケータイ」という表記はどこにもありません。
「iPhoneで電車に乗れる」って書いてあるのに、「おサイフケータイ」ではないっていうことなんです。
いったいどういうことなの?? 何が違うの?? といいますと、
「Apple Pay(アップルペイ)」というアップルの決済サービスに、Suicaが載せられる、ということなんです。
「Apple Pay(アップルペイ)」とはどんなサービス?
Apple Payは、2014年からアメリカでスタートし、現在9か国(今年中にスペインで開始されれば10か国)で行われている、非接触型+オンラインの決済サービスです。
自分のApple IDにクレジットカードを登録すれば、お店でタッチするだけで、そのカードでの決済が可能。サインでなく、指紋認証のTouch IDで決済完了、となります。さらに、ネットショッピングでも、対応するショッピングサイトであれば、ログインしなくてもApple IDだけで決済が完了することができます。
しかも、このサービス、2014年から、世界各国で普通に使えているサービスなんです。
「なあんだ、おサイフケータイと同じじゃない」と思われるかもしれませんが、これが全く別のサービスなんです。
なぜ今まで日本では使えなかったの?
iPhoneには、iPhone6から「NFC」という非接触型のセンサーが内蔵されました。
一方、これまで「おサイフケータイ」として使われているスマートフォンには、「Felica」(フェリカ)というセンサーがついています。こちらは、機能はNFCと同じなんですが、NFCと比べて反応距離が長く、通信時間も非常に短くて済むという特徴があります。使っている電波の周波数も違います。
つまり、同じようなものがついているにもかかわらず、仕様が日本のFelicaと異なるため、これまでiPhone6では改札が通れず、支払いもできなかった、ということなんです。
ただ「日本でも使えるようになった」だけじゃない、Apple Payの驚きの機能
そこで、こんどのiPhone7には、日本仕様のみですがFelicaが搭載されました。
これで、日本でもiPhoneが支払いに使える、電車にも乗れる! ということなんですが、ただそれだけじゃないんです。
先ほども少し触れましたが、Apple Payは、これまで日本で使われてきた「おサイフケータイ」のサービスとはまったく別のサービスなんです。
自由にクレジットカードを登録して、切り替え決済できるApple Pay
まず、決済手段としての自由度がまったく違います。
「おサイフケータイ」の場合
- QuicPay(クイックペイ)というサービスにクレジット会社が対応しており、カード会社が発行した認証コードを使って、そのカードをおサイフケータイに登録する
- 携帯一台に対して1種類のカードしか設定できない。変更する場合は、また認証コードが必要
- ネットショッピングなどでは使えない
Apple Payの場合
- Apple IDでログインして、自由にクレジットカードを登録・変更可能
- 複数のカードを切り替えて支払い可能
- 対応するショッピングサイトでの支払いも可能
※対応店舗は、「iD」または「QuicPay」対応の店舗となります。
つまり、Apple Payを利用すれば、クレジットカードを持ち歩く必要も、カードを端末に差し込む必要も、サインする必要もない、ネットショップもいちいちカード情報を登録しなくていい
っていうことなんです。これは結構すごいインパクトです。
でもまあ、これだけだったら、クレジットカードをあまり使わない人にとっては、メリットはない、とも言えますよね。でも、すごいのはここからです。
カード式のSuicaを、タッチするだけでiPhoneに取り込める!
なんと、カード式のSuicaにiPhoneをタッチするだけで、iPhoneに取り込めるというんです!
チャージも、Suica定期券の更新も、全部Apple Payでできる!
しかも、Suica定期券の場合でも、まったく同じように取り込め、更新もチャージもApple Payで可能だ、というんです。
これまで、スマホでSuicaを使う場合は、JR東日本が提供する「モバイルSuica」のサービスを利用していました。
この「モバイルSuica」の場合は、
- JR東日本の「モバイルSuica」に会員登録
- クレジットカードを登録(JRの「びゅうカード」以外のカードだと、年会費1030円が必要)
という手続きをしてはじめて、定期券の登録ができるようになっていました。券売機で買った定期券は一回限りしか読み込めず、複雑な入力が必要でした。
それが、会員登録もなしでいきなりiPhoneに読み込んで、そのままApple Payでチャージも、定期の更新さえもできるというんです。
※iPhoneでの、PASMO,ICOCA,SUGOCA等、相互利用会社の定期券の利用について
執筆時点で、明確に確認できない点も多いのですが、JR東日本の「Suicaアプリ」の対応範囲によって決まると考えられ、おおむね次のように判断しています。
- PASMOやICOCAなど、Suicaと相互利用しているカードは、載せられないようです。
- 定期券も、やはり現在のところ「Suica定期券」だけしか載せられないようです。
- 定期券以外の、単純な支払いは、Suicaと同様に全国で相互利用できるようです。
「おサイフケータイ」 vs 「Apple Pay」。 柔軟性ではApple Payが圧勝!?
このように、「Apple Pay」の機能は、多くの面で「おサイフケータイ」よりも圧倒的に柔軟で、便利にできています。「おサイフケータイ」が、ものすごく不便に感じるほどです。
もちろん、Apple Payはまだこれから始まるところなので、できないことも多くあります。まだ提携事業者が少ないことから、楽天Edyなどの他の電子マネーや、各種ショップカードなどは登録できません。
しかしこれも、時間とともに提携がすすみ、登録できるカードが増えてくるでしょう。そうすると、あらゆる面でApple Payが圧倒的に優位、という状況にもなり得ると思われます。
まだ発売前のため、各種の資料を参考に解説して来ましたが、ともかくも「Apple Payは、日本の決済環境にとって黒船来航ぐらいのインパクトだ」と言われてきたことも、うなずけますね。
モバイル決済の黒船”Apple Pay”の日本国内上陸は’16年9~10月か、関係各所の動きを読む:モバイル決済最前線—–endgadged日本版 2016/04/12
※このendgadgetの記事では、Apple Payが上陸するならNFC(TypeA/B)=海外仕様、という前提で、端末の普及の問題が論じられていますが、ふたをあけてみれば、Felica=日本仕様のまま、既存のSuica, iD/QuicPayの仕組みを利用して決済可能になっているようです。最初からかなり広い範囲で使えることになりました。
当教室の「スマホ・タブレットコース」でも扱っていく内容ですので、実機で試す機会がありましたら、また詳しく解説していきたいと思います。
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