「11月以降LINEが使えなくなる」は大げさ。だいじょうぶなので、おちついて(2023/10)

11月になったら、同意しないと LINEが利用できない 「11月以降LINEが 使えなくなる?」 についての 当店の見解 だいじょうぶなので、おちついて スマホ・タブレット
スマホ・タブレット
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本記事は、2023年10月26日初公開した記事です。
すでに過去の出来事となっていますが、関連のネット記事が引き続き公開されている実態などもあり、引き続きご参考となればと考え、当面このまま公開いたします。

10/31朝の、テレ朝のニュースで「LINE使えない人続出か 11月から“同意”手続き必須で注意」と報じられ、あわてて大混乱におちいっている方が多いようです。

LINE使えない人続出か 11月から“同意”手続き必須で注意 国内ユーザー9500万人
無料通信アプリ「LINE」を使っている皆さん、ある通知を放置したままにしていませんか?LINEである画面に同意しないままでいると、あす11月1日からLINEが使えなくなる恐れがあります。

2023/10/26、TBS系ニュースでも、「11月以降LINEが使えなくなる?“同意画面スルー”に要注意、確認するには?」と報道されました。

当店にもご質問が相次いでいますが、流れる報道には大げさなものが多く、非常に驚いております。

当店で実際どうなのか調べた結果、ほとんどの方はだいじょうぶなので、おちついてください。

【11/3更新】「11月1日にLINE使えなくなる」デマはなぜ拡散した?という記事が、Yahoo!エキスパートで公開されました。

「11月1日にLINE使えなくなる」デマはなぜ拡散した?(岡田有花) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「10月中にLINEの新プライバシーポリシーに同意しないと、11月1日以降LINEが使えなくなる」 10月末、こんなうわさが駆け巡りました。でも実際は、同意していない人も11月1日以降、現時点(11

LINE側の説明が分かりにくかったのは事実で、対応も遅かったと思います。それだけでなく、確認不十分なまま「LINE使えなくなる!?」というニュースが地上波で放映されたことは大きいと考えています。
いまだに、その番組がネット記事として、デマが配信され続けている形になっています。

ほとんどの方は「出てきたら同意する」で大丈夫です

  • 問答無用でLINEが使えなくなったり、アカウントが消えるようなことは、起こりません。
    まずはご安心いただくのが適切です。
  • 次のような「プライバシーポリシー統合のご案内」が出た場合は、下までスクロールして内容を確認し、「同意する」を必ずタップしてください
プライバシーポリシー統合のご案内
下までスクロールして、「同意する」をタップ
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。
本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。
  • 「同意画面スルー」した方も、必ず同意画面は出て来ますので大丈夫です。
  • いますぐ対処する方法は本記事にも掲載いたします
  • 「LINEとYahoo!のアカウント連携」は、別の話です。しなくても大丈夫です。アカウント連携は任意です。

【10/31更新】LINEヤフー社が、お問い合わせフォームの内容を追記しています。

お問い合わせ前にご確認ください
10月中にプライバシーポリシーの同意が完了していなくても、11月以降、LINEが利用できなくなることはございません。

11月以降も同意いただいていない場合、順次、サービス利用時にプライバシーポリシーの同意画面が掲出され続けるようになります。
画面が表示された際に同意ボタンを押していただくことで、引き続きLINEアプリをご利用いただけますので、ご安心ください。

なお、[account center]が表示されない場合は、プ​ライバシーポリシーの同意画面がポップアップ表示されるまでお待ちください。
※事前に[account center]からプライバシーポリシーへの同意を行っていただく必要はございません

また、LINEをご利用いただくにあたり、LINEアカウントとYahoo! JAPAN IDの連携は必須ではございません。

「account center」が表示されない方でも、11月になれば「プライバシーポリシー統合のご案内」は表示される、という意味に受け取れます。詳細確認中ですが、この内容に従えば、今現在、どうやっても「同意する」が押せない方も、11月になれば押せるようになる、と受け取れます。

アプリが最新版になっていない方は、アップデートを

LINEアプリが最新版になっていないと、10月中は同意画面が表示されなかったと思います。「プライバシーポリシー統合のご案内」がどうやっても表示できない方は、アプリのアップデートをおためしくださいアップデート方法を本記事の最後でご紹介します。

ただし、これについては、上でご紹介しました通り、LINE側が「ポップアップ表示されるまでお待ちください」とアナウンスしていますので、11月になっても正常に使えている方は大丈夫です。

スマホがすごく古い方は、本当にLINEが使えなくなる

スマホがAndroid6.0より古い方、iOS12より古い方は、サポートバージョンからはずれるため、実際にLINEが使えなくなります。機種変更をご検討ください。(詳細は本記事最後のこちら)

Androidは2015年10月、iPhoneは2018年9月より古い機種をお使いの方は、確認した方がよいと思います。多くの報道記事が出ておりますが、この点に一言も触れていない記事が大変多いですので、ご注意ください

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「規約に同意さえすれば、引き続きLINEは使える」が正しい

「11月以降、LINEが使えなくなるって、テレビで言ってたんですけど!?」

こういって、大混乱のなかで当店に駆け込んでくる方が相次いでいます。

もうですからこれは、はっきり申し上げています。

「だいじょうぶです、
落ち着いてください」

Yahoo!とLINEの統合で、個人情報に関する取り決めに、「改めて同意」が必要になった

Yahoo!とLINEが合併して、「LINEヤフー株式会社」という、ひとつの会社になることになりました。

ひとつの会社になったことで、私たちがLINEをはじめるときに同意していた、「プライバシーポリシー」が変わり、再度同意する必要が生じました。

プライバシーポリシーというものは、LINEアプリに入力している友だち・トーク・投稿・写真などの情報、また、アプリ使用にあたっての識別情報などを、会社がどう扱うか、という取り決めです。

取り決めがしっかりしていないと、「勝手に個人情報を扱った」ことになるので、LINEのサービスは提供してはいけないことになります。

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「同意画面スルー」した方も、大丈夫。ちゃんと出て来ます

10月4日以降、LINEを開いた時、次のような画面が全員に出ているはずです。

プライバシーポリシー統合のご案内
あとで確認を押してしまった場合

このとき、よくわかんないので「あとで確認」を押してしまって、どうすればいいか分からなくなった方が多数いらっしゃいます。

“同意画面スルーに要注意”といった見出しの記事がたくさんありますが、大げさすぎます。大丈夫です。

同意画面は、かならず自動的に出てきます。そこで同意すればOK

「同意画面スルー」した方も大丈夫です。ちゃんと同意画面は出て来ます。

「あとで確認」を押した方にも
定期的に再表示されます
出てきたら同意すればOK
それでも11月まで
同意しなかったら
11月に最初にLINEを開くと、必ず表示されるので、同意すればOK
プライバシーポリシー統合のご案内
下までスクロールして、「同意する」をタップ
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。
本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。

最終的に、どこかでプライバシーポリシーに同意さえすれば、そのままLINEは使えます。

LINEヤフー社の「プライバシーポリシー統合のご案内」の内容

LINEヤフー社は、次のようなページを公開して、プライバシーポリシーに再度同意する必要があることを知らせています。ここに、ちゃんと「一定の頻度で同意画面を表示します」と明記されています。

LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内
LINEとヤフーは2023年10月1日に統合し、新たなプライバシーポリシーを策定・公表します。LINEとヤフーの各サービスをご利用されているユーザーへ事前にご案内いたします。
Q10 LINEやLINEグループ・ヤフーのサービスの継続利用にプライバシーポリシーへの同意は必須でしょう か
・引き続き、当社サービスをご利用いただくに当たっては、LINE ヤフープライバシーポリシーへの同意が必要 となります。
同意いただいていない場合、 11月以降順次、 同意いただけるまでの間はLINEアプリ、 Yahoo!メールなどの 継続利用ができなくなります。 それに伴い、 たとえばLINEアプリ上で提供されているLINEグループのサービ スも一部、 継続利用ができなくなりますのでご留意ください。
なお、同意せず 「あとで確認する」ボタンを押した場合も、一定の頻度でプライバシーポリシーの同意画面 が掲出されますので、 再度掲出の際に同意ください。 11月以降も同意いただいていない場合、 順次、 サービ ス利用時にプライバシーポリシーの同意画面が掲出され続けるようになります。
またLINEアプリの 「account center」 ( [ホーム>設定> account center] ) からも同意が可能です(ア プリを最新バージョンにアップデートしていただく必要がございます)。
別途、 LINEアカウントとYahoo! JAPAN IDを連携する 「アカウント連携」 は任意となり、 LINEアプリや Yahoo!メールなどの継続利用は、 プライバシーポリシーの同意のみで可能です。
※2023年10月27日、 プライバシーポリシー同意の詳しい方法などを追記
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。
  • 「同意いただけるまでの間はLINEアプリ、Yahoo!メールなどの継続利用ができなくなります。
  • 「あとで確認する」ボタンを押した場合も、一定の頻度でプライバシーポリシーの同意画面が掲出されます
  • 11月以降も同意いただいていない場合…同意画面が掲出され続けるようになります

「同意すれば、引き続きLINEは使える」が正しい

ですから、

11月以降は、LINEが使えなくなる

という報道は、ちょっとやりすぎだと思います。皆様に、必要のない不安を与えてしまいます。

11月以降も、同意さえすれば、LINEは引き続き使える

と報道するべきなのです。

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いますぐ、プライバシーポリシーに手動で同意する方法

LINEアプリの「ホーム」→右上の歯車

まず、LINEアプリの「ホーム」に移動して、右上にある「歯車」を押します。

これで、「設定」に入れます。

LINEアプリ
ホーム→右上歯車 設定

「設定」の中の「account center」に入る

「設定」に移動したら、下図の位置にある「account center」をタップして入ります。

LINEアプリ「設定」
account center

「account center」が出ない方はアップデートをおためしください

「account center」がない方は、LINEアプリのバージョンが古い可能性があります。本記事の下の方に、アプリのアップデート方法もご説明しています。

ただし、LINEヤフー社としては、「いますぐ同意できなくても、11月になれば同意できるようになるので安心してください」と広報しているようですので、11月になっても正常に使えている方は大丈夫です。ただ、今後のことを考えますと、アプリのアップデートは行っていただいた方がよいと思いますので、可能なときにお試しください。

まだ同意してない方は、ここでプライバシーポリシーが出てくる

ここで、まだ同意してない方のLINEアプリでは、「プライバシーポリシー統合のご案内」が出ます。

この画面が出ない方は、すでに同意している、ということを意味しますので、ここで操作は終わりです。お疲れさまでした。

プライバシーポリシー統合のご案内
下にスクロール

この画面を、下までスクロールして読み進めると、「同意する」が緑色になりますので、タップします。

同意する

これで完了です。この「同意する」を一度押せば、LINEのサービスは、11月以降も今まで通り使えるようになります。

Yahoo! JAPAN IDと連携してもしなくてもよい

プライバシーポリシーに同意した後、Yahoo!JAPANアカウントと連携するかどうかの画面になります。

連携すると、なんかいろいろ便利だそうなので、Yahoo!のアカウントを持ってる方(ヤフーメールを使っているなど)は、連携すればよいし

Yahoo!のアカウントがない方、連携したくない方は、右上の×を押せば連携しないこともできます。

アカウントをまとめて管理してサービスをもっと便利に
連携したい方
Yahoo! JAPAN IDと連携する
連携したくない方
右上の×

account centerに残る青いやつは、放置でよい

もしYahoo!アカウントを連携しなかった場合、account centerに下図のような青い表示が残ります。

連携しないのであれば、そのまま放置で結構です。

account center
アカウントの連携を完了しましょう。
連携しないのであれば放置で良い
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LINEアプリのバージョンが古い場合のアップデート方法

「LINEアプリのバージョンが古いと、同意画面が出てこない」ケースがあります。

LINEアプリパージョン「11.15.0以上」の方は、引き続きLINEは使い続けられるはずなのですが、例えば「12.xx.xx」の、小数点以下のxx.xx 部分が最新になっていない方は、「account center」が表示されず、手動での同意ができないようです。

ただし、11月になっても正常に使えている方は、まずは大丈夫だった、とご安心ください。そのうえで、今後のことを考えますと、アップデートを行っていただくほうがよいため、アプリのアップデート方法をご紹介します。

iPhoneの場合

AppStore→「アプリ」→LINEを探して、そこにあるボタンが「アップデート」なら、タップするとアップデートできます。

AppStore
アプリ
LINE アップデート
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。

Androidの場合

Playストア→検索欄に「ライン」と打てば、LINEアプリが検索できます。

そこに表示されているボタンが「更新」であれば、タップすると更新できます。

Playストア
「ライン」と検索
LINEアプリの横の「更新」をタップ
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。

Wi-Fiがない方が更新できないケース

自宅にWi-Fiがなくて、更新できなかった、というご質問もいただいています。

  • iPhoneの場合、当方のてもとのiPhoneで試したところ、4G回線でもアップデートできました。
  • Androidの場合、Playストアの設定が必要な場合があるようです。

AndroidのPlayストアで、Wi-Fiなしでアップデート可能にするための設定は

Playストア→右上アカウントアイコン→設定→ネットワーク設定→タップすると出てくる、アプリのダウンロード設定→「ネットワークの指定なし」、「または毎回確認する」

Playストア→右上アカウントアイコン→設定→ネットワーク設定→タップすると出てくる、アプリのダウンロード設定→ネットワークの指定なし、または毎回確認する
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。

「ネットワークの指定なし」を選ぶと、「Wi-Fi接続時のみ」に戻すまでは、その後いつでも4G/5Gでアプリのアップデートが行われます。このため、以前より通信料が多くかかるかもしれません。

無制限プランなどに加入されていない方は、「毎回確認する」を選択したほうがよいかもしれません。

スマホ自体のバージョンが古く、アップデートできないケース

Androidバージョン6.0より前、iOSバージョン12より前の方は、11月1日以降サポートされるバージョン(LINEアプリ 11.15.0以上)にアップデートできませんので、LINEが使えなくなります。

現在最新のAndroidはバージョン13、最新のiOSはバージョン17です。
Android6.0のリリースは2015年10月、iOS12のリリースは2018年9月です。
ですので、それよりも前のスマホを使い続けている、という方は、確認した方がよいと思います。

LINEアプリのバージョンは、下記の操作で確認できます。

ホーム 歯車
下までスクロール
LINEについて
現在のバージョン
※スマホで小さくて見づらい場合、画像をタップしたあと、指でひろげると大きくなります。本文に戻るときは、画像拡大表示の右上「×」で戻れます。

「現在のバージョン」の数字が、いまの時点で11.15.0より小さい方はご注意ください。アプリのアップデートを試して、もしできないようなら、サポート対象外になってしまいます。機種変更をご検討ください。

本件につきまして LINE公式サポート(Android版)LINE公式サポート(iOS版) もあわせてごらんください。

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プライバシーポリシー、なぜいま「同意しないとLINEが利用できない」となったのか。具体的にどこが変わったのか

最後に、本当はいちばん肝心なことなのかもしれないんですが、プライバシーポリシーが今回、どこが変わったのか、という点をみていきます。

【2023/10/29 記事更新】内容を詳細に検討して、追記を行いました。

結構、読み込むの大変でした。完全に理解できたか、と問われると、完全じゃないかもしれません。

「なら同意しないほうがいいんじゃない?」って言われそうですが…しかし、多くの方は、ぶっちゃけ読まずに同意されていると思います。

以前から申し上げているのですが、読めない程の分量の規約を流して、「同意しましたね」っていうやり方は、もう曲がり角にきてると思います。「しっかり読んでくださいね」と言うのも限界です。

業界全体で、課題にしていかなければいけないことだと思います。

9月1日時点と、10月27日時点を比較してみた

とはいえ、はい、一応ちゃんとやってます。

Microsoft Wordの比較機能を使って、9月1日時点(LINE)と、10月27日時点(LINEヤフー)のプライバシーポリシーの、テキスト部分を比較したPDFを作成しました。ダウンロードできます。

このPDFの中身は、こんなふうになってまして↓

■黒字は変わっていないところ。

■赤字は削除されたところ

■青字は追加されたところ

となっています。

おもな変更点はこのあたり

新しいプライバシーポリシーは、こちらに掲載されています。PDFは、この完成版の少し前の「案」をもとに作成しています。

ただ、これはとても長くて読みづらいので、「変更の要点」がまとめられています。たしかに、よく変更点がまとめられていると思いました。

LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内
LINEとヤフーは2023年10月1日に統合し、新たなプライバシーポリシーを策定・公表します。LINEとヤフーの各サービスをご利用されているユーザーへ事前にご案内いたします。

また、プライバシーポリシー全体の内容を解説する、特設ページも設けられています。

LINEヤフー プライバシーセンター
LINEヤフーのプライバシーの考え方や方針をご説明しています。

このページに記載されている項目にそって、おもな変更点を追っていきます。

なぜ今回「同意しないとLINEが利用できない」となったのか

プライバシーポリシーを改定するときは、「変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。」となっています。(個人情報保護法 第21条3項)

プライバシーポリシー本文では、変更手続きについて、つぎのように書かれています。

9.c.プライバシーポリシーの変更

小さな変更があったときは、このページに「公表する」ということですが、「重要な変更」がある場合は、もしかしたら、今回のように再び、LINEアプリ上に通知が出て、同意を求められる可能性もあります。

LINEの収益力を強化するための、データ利活用を強化する改訂

LINEプライバシーポリシー改訂の内容を見ていきますと、個々のユーザーを識別したターゲティング広告や、研究目的、また生成AIの開発など、LINEの収益力を強化するための、個人情報の積極的な利用をめざすもの、という印象が強いです。

新生LINEヤフー、懸案のID連携に着手も見えぬ成長の軸
Zホールディングス(HD)と傘下のヤフー、LINEが合併し、10月1日に「LINEヤフー」として新たな門出を迎えた。2021年のLINEとの経営統合以降、期待されたシナジーが十分得られない中、合併を機に成長戦略を仕切り直す。懸案だったLIN...

「無料で使えるサービス」は、大変便利で、ありがたいものですが、それが民営であるかぎり、無条件でいつまでも無料であることは、本来考えられません。

「個人情報を積極的に利用」と聞くと、大変気持ち悪く、同意したくない、という方も多いと思いますが、「個人情報の流出」とは異なり、個々人の名前や住所などは特定されない形での利用は、すでにサービス提供企業にとっては必須のものとなってきています。

「LINEを利用し続けるためには同意が必要」となったのは、こうした背景があるのです。

便利だが、収益力が弱い、LINEの特性

LINEのサービスは、主要な部分は無料で提供されています。国民的通信アプリ、と呼ばれるほど、その利用は広く広がっています。

しかし、トーク機能などは、「通信の秘密」の範囲内で、厳格にその内容が保護されるためもあり、利用がいくら増えてもLINE社の収益に結びつかないところがありました。

この点が、LINEが単独での運営を続けられず、Yahoo!との統合にいたった、主要な要因だろうと思います。

そこで、プライバシーポリシーに大きな変更を加えることで、多くの人に行きわたったLINE、という特性を生かした、収益化の向上を図ろう、という意図がある、と判断しています。

1.広告主などのパートナーからの広告配信などに利用する情報の取得・利用

A社が商品購入ユーザー情報をLINEヤフーに提供
LINEヤフーユーザーだけを抽出
メッセージや広告を配信
Yahoo広告
Yahooセールスプロモーション
LINE広告
LINE公式アカウント
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

A社が、買ったことがあるお客様だけにLINEやYahoo!の広告を出すときに、「どの人がA社のお客様か」を識別する情報の提供を受けます、ということです。

このとき、照合には、氏名とかメールアドレス、電話番号「そのもの」ではなくて、それらを暗号化(ハッシュ化)したものの提供を受けて、照合するんだそうです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりですね。

3.c.第三者から取得するパーソナルデータの具体例

そのままのメールアドレスや名前で照合して、「ふむふむ、山田花子さんはこんなものを注文したのだな」という照合をされたのでは、キモくて怖いんですが

例えば、「メアドを暗号化して”awepmv54$”になる人が、LINEユーザーにもいて、同じ人だと判断できる。この人は、この商品を買った」というレベルで照合するという感じですね。

2.解析情報や統計情報の作成・提供

A社から商品購入ユーザー情報の提供を受ける
LINEヤフーで掲載した広告の閲覧情報を収集
分別管理された安全な環境で、広告悦楽情報等を分析
統計的に加工した状態でA社に提供
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

こちらは、1.よりもう少し複雑で、「LINEやヤフーで配信した広告を見た人が、実際に商品を買ったか」などの分析を行うという内容です。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

4.d.当社サービスのお客様への最適化の具体例

LINEヤフーが持ってる個人情報を、そのまま、広告を出してるA社に提供するわけじゃなくて、

A社が暗号化した個人情報をLINEヤフーに提供して、分析を依頼する
LINEヤフーは、持ってる個人情報のどれかとマッチするかを確認して、マッチしたかどうかの結果をレポートにして、A社に提供する

という感じです。

いずれの情報も、「3.取得するパーソナルデータ」の章で、第三者から取得する場合はハッシュ化(暗号化)して取得することになってるので、照合も、ハッシュ化した状態で行われる、ということになります。

3.越境移転先の国・地域の明確化

以前、中国の委託業者がLINEユーザーの個人情報にアクセス可能だった、ということで問題になりました。

そのときのプライバシーポリシーでは、「当社のパーソナルデータの提供先には、お客様のお住まいの国以外の国または地域にある委託先、子会社、関連会社などの第三者を含みます」という、もやっとした形になっていて、それに「同意した」という形になっていたわけですが、

今回の新しいプライバシーポリシーで、「どの地域にはデータを移転することがある」というのを明確にしたということです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

■ 英国および欧州経済領域
■ 欧州委員会が十分な保護水準を確保していると認定している国または地域
■ APECによる越境個人情報保護に係る枠組み(CBPRシステム)の加盟国
■ その他(タイ、インドネシア、ベトナム)

なお関連して、「6.b.パーソナルデータの保管場所」には、このように書かれています。

6.b.パーソナルデータの保管場所

データを保管する場所は、日本、アメリカおよび韓国のデータセンターだそうです。韓国に保管したことに懸念する声があったことを意識してか、その安全性が十分な認定を受けていることも記載されています。

なお、これらの対象地域が追加されるときは、プライバシーポリシーが修正されることになります。

4.識別子などの第三者提供

例えば、LINE公式アカウントに友だち追加すると、公式アカウント運営側からは、メッセージの一斉配信が行えるようになります。

また、LINE公式アカウントに一言話しかけた場合、公式アカウント運営側の「一対一トーク」画面にアカウント名が表示され、一対一でやりとりできるようになります。

こうした場合に、「LINEのこの人」と特定できる情報が、LINE公式アカウント運営者側に提供される、といったことですね。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

5.e.当社サービスの提供等

この部分を、さきほどダウンロード可能なPDFとしてご提供した、新旧対照のほうで見ると、次のように結構変更されています。

5.e.当社サービスの提供等
の新旧対照の内容

LINE公式アカウント関係以外に、新たなサービス検討や、研究機関への提供などが追記されていることがわかります。

5.識別子の紐づけ

ヤフーアカウント
LINEアカウント
それぞれの、広告識別子、ハッシュ化された電話番号、ハッシュ化され他メールアドレス
商品購入履歴など
それらを紐づけて、最適化されたメッセージや広告を配信
Yahoo!広告など
LINE広告
LINE公式アカウント
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

広告識別子、というのは、「広告配信にあたり、その端末を識別するためのID」といった意味合いです。本名とか住所はそこからは分からないんですが、「ある時点でこの商品を買った人と、いまLINEを開いている人は同じ人だ」といったことが分かるというわけです。

そこで、「この商品を買った人だから、この広告を流します」と言う処理をします、ということですね。よく、「さっき注文した商品の広告がいっぱい流れてくる」というようなことが起きますが、あのようなことです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

4.a.当社サービスの提供・維持の具体例

LINEとYahoo!が、ひとつの会社に統合するわけなので、これからは、Yahoo!は「パートナー」じゃなくて「当社」に含まれるわけですね。

なお、これにつづく「4.b.当社サービスの開発・改善の具体例」には、生成AIを開発するにあたっての学習に、個人情報を利用することも書かれています。これは、今回の改訂で追記されたものです。

・お客様の質問などの入力情報に応じて文章などを生成するサービスにおいて、新しい情報やコンテンツ(文章、画像、音声など)を生成するためのモデルの開発・改善を行う

LINEヤフープライバシーポリシーより

この生成AIの学習に使われるデータに、LINEのトークが含まれるか気になるところですが、一対一のトークの内容には、初期設定でLetter Sealingの暗号化が適用されますので、利用はできないと考えられます。

全体を通して

ここまで解説した、個人情報の利用は、LINE・Yahoo!のアカウントの連携を設定「しなくても」行われるものです。

そこで、LINEのサービスを利用し続けるためだけのために、この新しいプライバシーポリシーへの同意が必要になりました。

「それ以外の用途」におけるデータの連携は、アカウント連携を設定「した人だけ」行うのだそうです。アカウント連携を行うと、自分の意志で、「両方のサービスをわたし個人に紐づけて利用する」ことを選択することになります。

なお、たとえアカウント連携をしたとしても、LINEアプリでのトークの内容がYahoo!のサービスに使われることは「ありません」とはっきり書かれています。逆に、Yahoo!メールの内容がLINEのサービスに使われることもありません。

LINEの一対一トークは、「Letter Sealing」という暗号化によって、LINEの管理者にも読むことは出来ず、トークの当事者双方にしか読み取れない仕組みなので、ある意味当然のことだと思います。また、メール本文の内容も、憲法や電気通信事業法上の「通信の秘密」にあたると解釈されています。

以上、新しいプライバシーポリシーを読み解いてみました。追加でなにか分かりましたら、この項目を更新いたします。

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コメント

  1. カズヒロ より:

    懇切丁寧に解説、説明をしていただきまして有り難うございました。
    どこかの段階で必ず「同意」確認の表示が出てくるから大丈夫…という説明は、まず安心できますし、とても有用だと思いました。
    私の場合はiPhoneですがLINEのバージョンのアップデートをしていませんでしたので、設定の画面でaccount centerが表示されない段階から手順を進めました。
    ところで今夜になって友人からLINEが使えないとレスキューの連絡が入りましたが、おそらくこれもLINEのバージョンが理由ではないかと思います。
    友人はAndroidですので、これも解説頂いた手順を参考に、明日お助けに向かいたいと思います。
    あらためて詳しい解説記事を書いてくださったキュリオステーション志木店、担当者様にお礼申し上げます。

    • コメントありがとうございます。細部までよく読んでいただいてありがたいです。
      多くの方が 友人知人のサポートをされていて、そういう方に支えられてるなあと思います。
      当方も、おおわく大丈夫だろうと考えて書き進めたわけですが、古いバージョンのアプリに対して LINE がどの程度 きちんと サポートを提供するか正直 読めないところもあります。10月中にポップアップする方と11月まで ポップアップしない方の違いも明確な説明はありません。そして悪いことに、LINE のお問い合わせフォームの回答が大きく滞っており、不必要な混乱の影響が出ています。
      ご友人の方 うまく 復旧できますよう お祈りしております。

  2. トレッキー より:

    初めまして トレッキーと申します
    10/31 目覚ましテレビでLINEの件
    放送されて
    後でーー としていたので
    慌てました^ ^;;

    詳しく説明されているサイトを
    検索で こちらに辿り着きました

    有益な情報をありがとうございます

    その日 ボランティアで教えている
    生徒さんと LINE友人に
    さっそく教えました
    こちらに辿り着けて 助かりました

    • コメントありがとうございます。お役に立てて良かったです!
      当方には、26日のTBSの放送があった時点で、複数のご相談が入っておりました。皆さんたいへん慌てておられ、何事かと状況確認しましたが、その時点ではあまり詳しい情報がなかったのです。
      しかし、はたと考えて、「そんなに多くの方がLINEを使えなくなるんだったら、LINEはつぶれてしまう。そんなやり方をするだろうか」と考え、「放置してても11月になったらきっと表示される」と書いた初稿を公開しました。
      27日以降、順次、LINEヤフー社が、いろいろな追記をはじめて、やっぱりだいじょうぶだった、となったんですが
      それでも31日にはご覧になった放送が流れまして… 携帯ショップなどにも、多くの方がご相談されていたようですね。

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