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「11月以降LINEが使えなくなる」は大げさ。だいじょうぶなので、おちついて(2023/10)

11月になったら、同意しないと LINEが利用できない 「11月以降LINEが 使えなくなる?」 についての 当店の見解 だいじょうぶなので、おちついて
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なぜ今回「同意しないとLINEが利用できない」となったのか

プライバシーポリシーを改定するときは、「変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。」となっています。(個人情報保護法 第21条3項)

プライバシーポリシー本文では、変更手続きについて、つぎのように書かれています。

9.c.プライバシーポリシーの変更

小さな変更があったときは、このページに「公表する」ということですが、「重要な変更」がある場合は、もしかしたら、今回のように再び、LINEアプリ上に通知が出て、同意を求められる可能性もあります。

LINEの収益力を強化するための、データ利活用を強化する改訂

LINEプライバシーポリシー改訂の内容を見ていきますと、個々のユーザーを識別したターゲティング広告や、研究目的、また生成AIの開発など、LINEの収益力を強化するための、個人情報の積極的な利用をめざすもの、という印象が強いです。

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「無料で使えるサービス」は、大変便利で、ありがたいものですが、それが民営であるかぎり、無条件でいつまでも無料であることは、本来考えられません。

「個人情報を積極的に利用」と聞くと、大変気持ち悪く、同意したくない、という方も多いと思いますが、「個人情報の流出」とは異なり、個々人の名前や住所などは特定されない形での利用は、すでにサービス提供企業にとっては必須のものとなってきています。

「LINEを利用し続けるためには同意が必要」となったのは、こうした背景があるのです。

便利だが、収益力が弱い、LINEの特性

LINEのサービスは、主要な部分は無料で提供されています。国民的通信アプリ、と呼ばれるほど、その利用は広く広がっています。

しかし、トーク機能などは、「通信の秘密」の範囲内で、厳格にその内容が保護されるためもあり、利用がいくら増えてもLINE社の収益に結びつかないところがありました。

この点が、LINEが単独での運営を続けられず、Yahoo!との統合にいたった、主要な要因だろうと思います。

そこで、プライバシーポリシーに大きな変更を加えることで、多くの人に行きわたったLINE、という特性を生かした、収益化の向上を図ろう、という意図がある、と判断しています。

1.広告主などのパートナーからの広告配信などに利用する情報の取得・利用

A社が商品購入ユーザー情報をLINEヤフーに提供
LINEヤフーユーザーだけを抽出
メッセージや広告を配信
Yahoo広告
Yahooセールスプロモーション
LINE広告
LINE公式アカウント
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

A社が、買ったことがあるお客様だけにLINEやYahoo!の広告を出すときに、「どの人がA社のお客様か」を識別する情報の提供を受けます、ということです。

このとき、照合には、氏名とかメールアドレス、電話番号「そのもの」ではなくて、それらを暗号化(ハッシュ化)したものの提供を受けて、照合するんだそうです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりですね。

3.c.第三者から取得するパーソナルデータの具体例

そのままのメールアドレスや名前で照合して、「ふむふむ、山田花子さんはこんなものを注文したのだな」という照合をされたのでは、キモくて怖いんですが

例えば、「メアドを暗号化して”awepmv54$”になる人が、LINEユーザーにもいて、同じ人だと判断できる。この人は、この商品を買った」というレベルで照合するという感じですね。

2.解析情報や統計情報の作成・提供

A社から商品購入ユーザー情報の提供を受ける
LINEヤフーで掲載した広告の閲覧情報を収集
分別管理された安全な環境で、広告悦楽情報等を分析
統計的に加工した状態でA社に提供
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

こちらは、1.よりもう少し複雑で、「LINEやヤフーで配信した広告を見た人が、実際に商品を買ったか」などの分析を行うという内容です。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

4.d.当社サービスのお客様への最適化の具体例

LINEヤフーが持ってる個人情報を、そのまま、広告を出してるA社に提供するわけじゃなくて、

A社が暗号化した個人情報をLINEヤフーに提供して、分析を依頼する
LINEヤフーは、持ってる個人情報のどれかとマッチするかを確認して、マッチしたかどうかの結果をレポートにして、A社に提供する

という感じです。

いずれの情報も、「3.取得するパーソナルデータ」の章で、第三者から取得する場合はハッシュ化(暗号化)して取得することになってるので、照合も、ハッシュ化した状態で行われる、ということになります。

3.越境移転先の国・地域の明確化

以前、中国の委託業者がLINEユーザーの個人情報にアクセス可能だった、ということで問題になりました。

そのときのプライバシーポリシーでは、「当社のパーソナルデータの提供先には、お客様のお住まいの国以外の国または地域にある委託先、子会社、関連会社などの第三者を含みます」という、もやっとした形になっていて、それに「同意した」という形になっていたわけですが、

今回の新しいプライバシーポリシーで、「どの地域にはデータを移転することがある」というのを明確にしたということです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

■ 英国および欧州経済領域
■ 欧州委員会が十分な保護水準を確保していると認定している国または地域
■ APECによる越境個人情報保護に係る枠組み(CBPRシステム)の加盟国
■ その他(タイ、インドネシア、ベトナム)

なお関連して、「6.b.パーソナルデータの保管場所」には、このように書かれています。

6.b.パーソナルデータの保管場所

データを保管する場所は、日本、アメリカおよび韓国のデータセンターだそうです。韓国に保管したことに懸念する声があったことを意識してか、その安全性が十分な認定を受けていることも記載されています。

なお、これらの対象地域が追加されるときは、プライバシーポリシーが修正されることになります。

4.識別子などの第三者提供

例えば、LINE公式アカウントに友だち追加すると、公式アカウント運営側からは、メッセージの一斉配信が行えるようになります。

また、LINE公式アカウントに一言話しかけた場合、公式アカウント運営側の「一対一トーク」画面にアカウント名が表示され、一対一でやりとりできるようになります。

こうした場合に、「LINEのこの人」と特定できる情報が、LINE公式アカウント運営者側に提供される、といったことですね。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

5.e.当社サービスの提供等

この部分を、さきほどダウンロード可能なPDFとしてご提供した、新旧対照のほうで見ると、次のように結構変更されています。

5.e.当社サービスの提供等
の新旧対照の内容

LINE公式アカウント関係以外に、新たなサービス検討や、研究機関への提供などが追記されていることがわかります。

5.識別子の紐づけ

ヤフーアカウント
LINEアカウント
それぞれの、広告識別子、ハッシュ化された電話番号、ハッシュ化され他メールアドレス
商品購入履歴など
それらを紐づけて、最適化されたメッセージや広告を配信
Yahoo!広告など
LINE広告
LINE公式アカウント
「LINE株式会社とヤフー株式会社のプライバシーポリシー統合のご案内」より

広告識別子、というのは、「広告配信にあたり、その端末を識別するためのID」といった意味合いです。本名とか住所はそこからは分からないんですが、「ある時点でこの商品を買った人と、いまLINEを開いている人は同じ人だ」といったことが分かるというわけです。

そこで、「この商品を買った人だから、この広告を流します」と言う処理をします、ということですね。よく、「さっき注文した商品の広告がいっぱい流れてくる」というようなことが起きますが、あのようなことです。

プライバシーポリシー本文で言うと、このあたりになります。

4.a.当社サービスの提供・維持の具体例

LINEとYahoo!が、ひとつの会社に統合するわけなので、これからは、Yahoo!は「パートナー」じゃなくて「当社」に含まれるわけですね。

なお、これにつづく「4.b.当社サービスの開発・改善の具体例」には、生成AIを開発するにあたっての学習に、個人情報を利用することも書かれています。これは、今回の改訂で追記されたものです。

・お客様の質問などの入力情報に応じて文章などを生成するサービスにおいて、新しい情報やコンテンツ(文章、画像、音声など)を生成するためのモデルの開発・改善を行う

LINEヤフープライバシーポリシーより

この生成AIの学習に使われるデータに、LINEのトークが含まれるか気になるところですが、一対一のトークの内容には、初期設定でLetter Sealingの暗号化が適用されますので、利用はできないと考えられます。

全体を通して

ここまで解説した、個人情報の利用は、LINE・Yahoo!のアカウントの連携を設定「しなくても」行われるものです。

そこで、LINEのサービスを利用し続けるためだけのために、この新しいプライバシーポリシーへの同意が必要になりました。

「それ以外の用途」におけるデータの連携は、アカウント連携を設定「した人だけ」行うのだそうです。アカウント連携を行うと、自分の意志で、「両方のサービスをわたし個人に紐づけて利用する」ことを選択することになります。

なお、たとえアカウント連携をしたとしても、LINEアプリでのトークの内容がYahoo!のサービスに使われることは「ありません」とはっきり書かれています。逆に、Yahoo!メールの内容がLINEのサービスに使われることもありません。

LINEの一対一トークは、「Letter Sealing」という暗号化によって、LINEの管理者にも読むことは出来ず、トークの当事者双方にしか読み取れない仕組みなので、ある意味当然のことだと思います。また、メール本文の内容も、憲法や電気通信事業法上の「通信の秘密」にあたると解釈されています。

以上、新しいプライバシーポリシーを読み解いてみました。追加でなにか分かりましたら、この項目を更新いたします。

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コメント

  1. カズヒロ より:

    懇切丁寧に解説、説明をしていただきまして有り難うございました。
    どこかの段階で必ず「同意」確認の表示が出てくるから大丈夫…という説明は、まず安心できますし、とても有用だと思いました。
    私の場合はiPhoneですがLINEのバージョンのアップデートをしていませんでしたので、設定の画面でaccount centerが表示されない段階から手順を進めました。
    ところで今夜になって友人からLINEが使えないとレスキューの連絡が入りましたが、おそらくこれもLINEのバージョンが理由ではないかと思います。
    友人はAndroidですので、これも解説頂いた手順を参考に、明日お助けに向かいたいと思います。
    あらためて詳しい解説記事を書いてくださったキュリオステーション志木店、担当者様にお礼申し上げます。

    • コメントありがとうございます。細部までよく読んでいただいてありがたいです。
      多くの方が 友人知人のサポートをされていて、そういう方に支えられてるなあと思います。
      当方も、おおわく大丈夫だろうと考えて書き進めたわけですが、古いバージョンのアプリに対して LINE がどの程度 きちんと サポートを提供するか正直 読めないところもあります。10月中にポップアップする方と11月まで ポップアップしない方の違いも明確な説明はありません。そして悪いことに、LINE のお問い合わせフォームの回答が大きく滞っており、不必要な混乱の影響が出ています。
      ご友人の方 うまく 復旧できますよう お祈りしております。

  2. トレッキー より:

    初めまして トレッキーと申します
    10/31 目覚ましテレビでLINEの件
    放送されて
    後でーー としていたので
    慌てました^ ^;;

    詳しく説明されているサイトを
    検索で こちらに辿り着きました

    有益な情報をありがとうございます

    その日 ボランティアで教えている
    生徒さんと LINE友人に
    さっそく教えました
    こちらに辿り着けて 助かりました

    • コメントありがとうございます。お役に立てて良かったです!
      当方には、26日のTBSの放送があった時点で、複数のご相談が入っておりました。皆さんたいへん慌てておられ、何事かと状況確認しましたが、その時点ではあまり詳しい情報がなかったのです。
      しかし、はたと考えて、「そんなに多くの方がLINEを使えなくなるんだったら、LINEはつぶれてしまう。そんなやり方をするだろうか」と考え、「放置してても11月になったらきっと表示される」と書いた初稿を公開しました。
      27日以降、順次、LINEヤフー社が、いろいろな追記をはじめて、やっぱりだいじょうぶだった、となったんですが
      それでも31日にはご覧になった放送が流れまして… 携帯ショップなどにも、多くの方がご相談されていたようですね。

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