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「東京湾でM9地震」は誤報でしたが、この機会に緊急地震速報について改めて考える

誤報だった「東京湾M9地震」の速報画面
スマホ・タブレット
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本日は、定休日で自宅作業をしておりましたところ、17時9分に鳴り響いた「緊急地震速報」で、いきなり度肝を抜かれました。「東京湾でマグニチュード9の地震」「推定震度7」の画面に、ある程度の備えはあるものの、いま何をしたら地震の備えになるのかよく分からず、そのあたりの倒れそうなものを押さえて息をひそめておりました。

しかし、1分ほど経っても大きな揺れはこず、「これは誤報かな・・・」と思ったのですが、それでもはっきりした確認がとれるまでは、気の抜けない時間が過ぎました。Twitterなどでは、かなり早くから「誤報」のツイートが流れていましたが、きちんとしたニュースとして流れるのにはしばらくかかりました。首都圏をはじめ、全国各地で、多くの方が同じような思いをされたことと思います。

東京湾でマグニチュード9ということは、東日本大震災よりも深刻です。震源が近いですし、海底であれば津波も来るでしょう。近いだけに、備える時間もわずかです。「震度7」の範囲も非常に広く、首都圏への救援体制も遅れたことでしょう。「これがもし本当だったら・・・・」と思うとぞっとしますね。

「警報」ではなく、速報性重視の「予報」のため、伝わっていない人も

その後、何人かのSNSの知り合いから話を聞いていたのですが、意外と多かったのが「今言われて気づいた」という声です。みんなスマホは手元においているはずなのですが、緊急地震速報が鳴っていない人も多くいたようです。

今回の緊急地震速報は、「観測点が1か所でも大きな地震波を検知したら」発せられる、「予報」だったのだそうです。これが、続いて複数の観測点が地震を検知して、はじめてテレビなどでも流される「警報」に発展するのだそうです。つまり、「予報」段階では、正確性よりも速報性を重視して、誤報の可能性があっても発信され、一般に配信される「警報」に比べて、最大60秒近く速く配信されます。

今回は、千葉のある一つの観測点のデータに「大きな電気的ノイズ」が入ったため、誤報になったのではないか、ということです。

気象庁「東京湾で震度7」、直後に取り消し 落雷で誤動作か - 日本経済新聞
気象庁は1日夕、東京湾で大地震が発生したとする緊急地震速報を出し、直後に取り消した。地震は起きていなかったが、横浜市営地下鉄で列車が一時停止するなどの影響が出た。同庁は千葉県富津市上空で雨雲が観測され、落雷による衝撃を同市内の地震計が誤って...

今回、筆者である私が見ていたのは「ウェザーニュース」社のアプリでした。このように、何か有料のアプリを入れていたりすると、一般向けではなく事業者向けの速報も受信できるようです。もともとは、鉄道事業者など、「いち早く対応する必要がある」事業者向けの予報のようですが、「ウェザーニュース」のように、かなり多くの方が利用しているアプリでも配信されるようになっています。

緊急地震速報は一般に、揺れが到達する数秒から数十秒前に届きます。今回のように震源が近い場合は、スマホの画面を見るか見ないかのうちに、もう揺れ始めると考えられます。そんなとき、もしかしたら、多少誤報の可能性があっても、少しでも早く情報が届いた方が、命を守ることができる、と言えるのではないかと思います。

緊急地震速報の「緊急性」が十分に伝わっていない現実

今回の誤報がもし正しい情報だったら、ただちに命を守る行動を取らなければ、地震の到達に間に合いません。

交通機関や一部の施設では、この「予報」が全館に告知されていたようです。

にもかかわらず、誤報発生直後に流れていたTwitterの記事を見ますと、緊急地震速報が流れているのに、結構みなさん普通に過ごしているようすが分かります。

緊急地震速報の誤報
これはビビる pic.twitter.com/5AJbN3mvQs

— 黒田八平@RainbowRoad (@Kuroda_Happei) 2016年8月1日

この動画では、建物全体に音声が流れていますので、耳が聞こえる方は全員気づいていると思います。それでも、皆さん避難行動に移っていないか、またはゆっくり歩いて避難されているかです。

私たちの身の回りの経験と一致するのですが、緊急地震速報の「緊急性」は、すでに多くの方にとって薄れています。何回かこの音を経験するうちに、「またいつもの地震速報だ・・」という感覚になっているのではないでしょうか。

「緊急性」が伝わりにくい、現在の緊急地震速報

じっさい、いまの緊急地震速報は、

  1. まず緊急地震速報の警報音を耳にする
  2. 内容を確認するためにスマホの画面を見る
  3. 画面に出ている情報を的確に理解する

という3つのステップを踏まなければ、事態の緊急性をつかむことができません。

上で紹介させていただいたツイートの動画でも、警報音を聞いて、スマホの画面をみんなで見ながら、話し合っていらっしゃる様子が写っていますね。もし、今回の警報が事実であったなら、このように画面を見て話し合っているうちに、命にかかわる地震が来るほどの緊急性があるにも関わらずです。

では、警報音を耳にしたらすぐに、内容を確認せずに避難できるか? といったら、多くの方にとってこれは現実的でないと思います。仕事中や、友達と街で楽しんでいるとき、警報音がしたと同時に逃げ出した人がいたとしたら・・・・・・本当のところをいえば、そうあるべきなのでしょうが、それで大したことなかったら、「なにやってるの?」と奇異の目で見られることは間違いありません。

しかし、今回誤報だったこの緊急地震速報の内容であれば、誰になんと言われようとも即座に、命を守る行動を取るべきレベルなのです。

たとえ分かりにくい速報であったとしても、まずスマホを一応見て、内容を理解できれば、もしかしたら一生に一回ぐらい、自分や家族、友達の命を守れる可能性はあるのです。

まずは自分のスマホや携帯に、緊急地震速報がちゃんと届くのか確認しよう

現在販売されているスマホ・携帯電話では、ほとんどの場合、購入した時点で緊急地震速報の受信が設定されています。しかし、一部のケースで、購入時点では緊急地震速報が受信できない端末があります。その場合は、自分で設定しなければなりません。

※冒頭でご説明したように、ここで受信設定されるのは、複数の観測点が揺れを観測し、精度が上がってから発表される「警報」のことです。

Docomo/ au / Softbankの場合

以下のリンクから詳しく見られます。

Docomo(事前の受信設定が必要な機種と設定方法)

au (携帯電話の設定方法)

au(Android / iPhone)

Softbank(緊急速報メール(緊急地震速報+津波警報+特別警報+災害・避難情報)の設定方法)

※auに関しては、機種別にてんでばらばらな場所に説明が書いてあり、探しにくくなっています。そのため、上記のリンクは、本記事投稿後に改変されるばあいがあります。ご不明な点は、必ずauショップか、auお客様サポート(局番なしの157)でご確認ください。

これ以外の携帯電話会社(いわゆる「格安SIM」)を利用している場合

回線提供会社が公式に緊急地震速報を提供していない場合がほとんどです。一部の対応端末では、国際規格の「ETWS」が受信できますが、現在はまだごく一部です。

対応していない、または、分からない場合どうすればいいかというと、

アプリ「Yahoo!防災速報」(無料)を入れることで、受信可能になります。

Yahoo防災速報アプリ
Yahoo防災速報アプリ(下の各リンクから、Android/iPhone用がインストールできます)
Google Play で手に入れよう
AppStore-Yahoo緊急速報アプリ

緊急地震速報の内容から、緊急性を判断しましょう

次に、受信した緊急地震速報の情報を読んで、どの程度緊急かを即座に把握する方法についてです。

震源からの距離によって、揺れるまでの時間が変わる

緊急地震速報には、震源地のおおまかな位置が記載されています。

自分の今いる位置との距離によって、「緊急地震速報が鳴ってから、実際に揺れが来るまでの時間の余裕」が変わります。「何キロだったら何秒」と決まっているわけでは全くないのですが、「すぐそばだったら、見た瞬間にもう揺れが来る」と思う必要があります。

予想震度は目安になるが、はずれることもある

緊急地震速報には、予想震度が記載されています。多くの方が、「震度いくつ」という数字に対して、ある程度経験的に「このぐらい揺れる」という感覚をおもちだと思いますが、大きな災害に遭遇したことがなければ、「震度5」を超える揺れがどんなものか、ほとんど経験がないのではないでしょうか。

今回のように「震度7」が本当に来たら、まず人は立っていられず、即座に家屋の倒壊が起こりうる震度です。また、あくまで機械が自動で出している速報値ですから、誤差はあります。少しオーバーでも、書いてある震度にプラスマイナス1ぐらいの誤差はみておく必要があると思います。

参考: 気象庁–気象庁震度階級関連解説表

「マグニチュード」は、数字が2ふえると地震エネルギーは1000倍!!

「マグニチュード」の数字は、とても怖い数字です。たとえばマグニチュード7と、マグニチュード9では、地震のエネルギーは1000倍の違いがあります。

「震度」とはまったく違う性格の数字ですので、実感がつかみにくいのですが、今回誤報のあった「マグニチュード9.1」は、途方もない数字です。東日本大震災が、日本観測史上最大のマグニチュード9.0だったので、それよりも大きい規模になります。

もしこの誤報が本当のことだったら、震源が東京湾です。東日本大震災より近いわけですから、とてつもない揺れが首都圏を襲ったことでしょう。

たった5年前に東北地方の方が経験された、「マグニチュード9」の恐ろしさを、忘れないようにしなければなりません。

「警報」ではなく、速報の「予報」段階で受信できるアプリ

今回の誤報のような、「多少正確ではないけれど速く届く」、予報段階の情報を受信できるアプリをご紹介します。

ウェザーニュースタッチ >Android   >iOS

ゆれくるコール

いずれも、サービスは一部有料となりますが、緊急地震速報は無料で受けることができます。

誤報ではありましたが、「予報」と「警報」の違いがはっきりした今回のできごとをきっかけに、インストールする方が増えるかもしれませんね。

せっかく流れている緊急地震速報、命を守るために活用しましょう!

とてつもない大誤報をきっかけに、緊急地震速報についてまとめてみました。まだまだ機械的な故障による誤報もあり、不確かな面もありますが、熊本地震でも震源から比較的遠い地域の方にはかなり役立ったという話もあります。

たったひとつの命、たとえ不十分な緊急地震速報でも、流れているものはきちんと活用して、自分と家族・仲間を守っていきたいですね。

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